研究課題/領域番号 |
15K12678
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 義春 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60251427)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心身の健康 / ネットワーク行動医学 / 食行動 / EMA |
研究実績の概要 |
ヒトの食行動や喫煙のような生活習慣に係る行動や心理状態、疾病などの伝播は、社会的ネットワークの構造と密接な関係があることが知られている。また、ネットワークの構成要員とその相互関係(つながり)を操作することにより、それらの伝播を促進・抑制できることが知られている。本研究では、この社会的ネットワークが持つ特徴をインターネット上の情報空間ネットワークに拡張し、食行動とそれに関連する心理状態がネットワークを介して伝播する機序を、実験的な情報空間ネットワークを構築することにより明らかにし、その制御可能性を検証することを目的としている。H28年度は、過食行動などを規定する個人の中での心理・社会・生理要因の解明および、食事制限の継続・失敗に関する食行動の動的機序を明らかにすることを目的に、健常女性を対象としたEcological Momentary Assessment (EMA) による調査を継続した。日常的に食事制限を行っている群(制限群:4週間)と行っていない群(非制限群:2週間)を対象に、日常生活下における食事内容や自覚症状、行動、生理状態の同時計測を実施した。予備的な解析結果では、過食行動に先立ち、気分や食欲、社会的関係性に特徴的なゆらぎ(予兆)がみられることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過食など食行動における健康上望ましくない習慣的行動とそれに関連する心理状態を評価するための調査を行ってきたが、被験者の集まりが思いの他悪く、調査に若干の遅れが生じている。一方で、情報空間ネットワークにおける食行動とそれに関連する心理状態の相互依存性を解明するための実験的な情報空間ネットワークは予定どおり構築した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、マルチレベル解析などにより、過食や食事制限の失敗などと関連する心理・社会・生理的要因を同定し、食行動動態の解明を行う。さらに、EMAによる過食の徴候を実時間でサーバーに送信し、その結果に基いてメールや相互通信などを介して食行動を制御するようなシステムの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析を次年度も継続的に行う必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
追加分析のための物品費、分析補助の人件費として使用する計画である。
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