本研究の本年度の課題は,新規加速度信号処理アルゴリズムについて,実生活での日常生活下での精度検証として,健常成人を対象に日常生活下にて,腰部加速度信号,心拍数,筋放電量の測定を行うことであった. 腰部加速度信号と心肺負荷について検討した.日常生活の中では,断続的な短時間の身体活動が主体となるため,これまでの単位時間あたりの加速度信号の積算や平均化では,心肺への高い負荷の活動を過小評価することを明らかにした.また,その改善策として加速度信号の測定エポック長の短縮を検討した.この測定エポック長の短縮により相対的に心肺負荷が高まる身体活動を探知することができた.さらに,身体活動を物理的に探知する加速度信号に対して,心肺応答に時間的な遅れが生じることから,身体活動の継続時間を加味するためのエポック長についても検討した.さらに,日常生活の身体活動の非連続性を考慮して,身体活動中の休息についても配慮したエポック長を検討した. 腰部加速度信号と大腿筋収縮の関係性を明らかにするために,客観的に歩幅を測定する方法を検討した.監視下での試験と非監視下での日常生活活動から,腰部加速度信号の頻度とサイズから歩幅を評価するシステムを開発し,実生活での調査運用した.その結果,監視下での試験においては,5%以内の誤差範囲であることを確認し,また,日常生活下での歩幅の実態を明らかにした. これらの両者のシステムを統合して,日常生活における心肺と大腿部への負荷を評価するシステムを特にエポック長に焦点を当てて検討した.その結果,データ保存容量やデータの安定性などを考慮しても30秒未満のエポック長が好ましいと考えらた.これらの新たな身体活動評価のアルゴリズムを応用した地域での健康づくりプログラムを運用できる.
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