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2016 年度 実施状況報告書

音楽による不快感情調整の神経科学的メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K12690
研究機関徳島大学

研究代表者

河野 理  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90447011)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード音楽 / 感情 / fMRI / 同質の原理 / 脳機能 / 音楽療法
研究実績の概要

健常ボランティア30名に対して、気分誘導画像(快、中性、不快)を10秒間呈示し、音楽(興奮音楽、癒し音楽)を30秒間聴取させた時の被験者のリアルタイム感情値(気分誘導画像を呈示してから音楽の聴取が終わるまでの連続感情データ)、音楽感情値および心拍数(R-R間隔)を同時計測した。
解析は、リアルタイム感情値の被験者30名の平均値のタイムコースを作成し、音楽感情値を気分誘導画像、音楽、被験者および気分誘導画像と音楽種類の交互作用を要因とする3要因分散分析を行った。さらに、音楽感情値に対して、気分誘導画像の快、中性、不快のそれぞれの要因間および各音楽の要因間の統計的有意差をTurkeyの多重検定法を用いて、統計的検定を行った。
その結果、気分誘導画像を用いて、被験者の感情状態が、快、中性、不快状態に制御され、興奮音楽では、被験者の初期感情状態によらず、リアルタイム感情値が増加しつづけ、快状態へ移行した。一方、癒し音楽では、初期感情状態が不快状態の場合はリアルタイム感情値が増加し、快状態の場合はリアルタイム感情値が減少し、それらの感情値は、中性状態へ移行した。3要因分散分析を行った結果、各因子の主効果および交互作用に有意差が見出された(p<0.0001)。Turkeyの多重比較検定において、初期気分状態の違いによる音楽感情への有意差が見出された(p<0.05)。本実験に使用された10種類の音楽は、3つのサブグループに分類され、それらのサブグループ間で、有意差が見出された(p<0.05)。これらのグループは、興奮音楽および癒し音楽に対応するものであると考えられた。
我々の結果は、心理学的観点から、被験者の初期気分状態と音楽感情の関係を明らかにしたものであり、音楽療法の基礎原理である同質の原理をサポートしており、音楽療法の科学的基礎を築くための重要な結果であると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要に示されているように、平成28年度の研究計画にしたがって、研究内容が進捗しているため。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としては、fMRIを用いた同様の実験デザインによって、脳機能データを取得し、神経科学的観点から、被験者の初期気分状態と音楽感情の関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

謝金額に変更が生じたため。

次年度使用額の使用計画

次年度の綿密な打ち合わせのために、残額を共同研究先への旅費に追加する。

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公開日: 2018-01-16  

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