研究課題
現在、我が国の成人男性の約4人に1人が勃起不全を有しており、50歳以上では男性の2人に1人が勃起不全を有する。勃起不全の主な原因は、心理的な要因や血管機能の低下であるが、中高齢者における勃起不全の大半は動脈硬化などの血管機能の低下に起因する。血管機能の低下は心血管疾患の独立した危険因子であり、勃起不全を有する者はそうでない者に比べて、心血管疾患の発症率が高いことが報告されている。これまでに、我々は定期的な有酸素性運動により血管機能が改善することを明らかにしてきた。しかし、血管機能に関連する勃起機能と有酸素性運動能力の関連については明らかにされていない。そこで本研究では、勃起機能と定期的な有酸素性運動との関連について横断的および縦断的に検討することを目的とした。平成27~28年度は成人男性約300名を対象とし、勃起機能、男性更年期障害、有酸素性運動能力などの関連を横断的に検討した。勃起機能は「国際勃起機能スコア5(International Index of Erectile Function 5: IIEF5)」を用いて評価し、男性更年期障害は「Aging Males' Symptoms scale (AMS)」を用いて評価した。その結果、有酸素性運動能力はIIEF5スコアおよびAMSスコアと有意に関連し、有酸素性運動能力が高い者において勃起機能が高く、男性更年期障害の程度が低いことが示された。平成29年度は、成人男性約20名を対象に12週間の有酸素性運動トレーニングを実施した。12週間のトレーニングにより、対象者の日常的な身体活動量および有酸素性運動能力は有意に上昇し、AMSスコアは有意に低下(改善)した。これらの研究成果から、成人男性において有酸素性運動能力は勃起機能および男性更年期障害と関連し、定期的な有酸素性運動により男性更年期障害が改善する可能性が示された。
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Hormone Metabolic Research
巻: 50 ページ: 73-79
10.1055/s-0043-117497
Journal of the American Heart Association
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