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2015 年度 実施状況報告書

体内エネルギー貯蔵分子の消費選択機構への介入に基づく抗肥満療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K12695
研究機関東京大学

研究代表者

田中 廣壽  東京大学, 医科学研究所, 教授 (00171794)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード内科 / 内分泌学 / 代謝学 / エネルギー / 脂肪 / 肥満 / 生活習慣病 / グルココルチコイド
研究実績の概要

タンパク質の最大の貯蔵臓器である骨格筋において、生理的タンパク質の異化過程の促進に、副腎皮質ホルモンであるグルココルチコイドとその細胞内受容体グルココルチコイドレセプター(GR)が中心的役割を果たす。骨格筋特異的にGRをノックアウトしたGRmKOマウスにおいて、骨格筋量の増加、血漿中アラニン濃度減少、脂質利用亢進作用のあるヘパトカインfibroblast growth factor-21 (FGF21)の肝臓における産生増加とともに、脂肪組織の著明な縮小が観察された。そこで、上記の各ステップの分子機構の詳細を解明してステップ間相互の関係性を明らかにし、消費される体内エネルギー貯蔵分子のカテゴリー(脂質・タンパク質・糖質)を選択する生理機構、とくに脂質の動員量を規定する機構を究明した。
血中アラニン濃度が低いGRmKOマウスにアラニンを補充したところ、個体の脂肪組織、組織重量は増加した。骨格筋、肝臓、白色・褐色脂肪組織において、遺伝子発現プロファイリング解析によって、各組織におけるアラニンの下流シグナルを探索・同定した。すなわち、アラニン単回経口投与によって血中アラニンの増加と血中遊離脂肪酸・ケトン体の減少が観察され、生理的にもアラニンによって脂質利用が抑制されることが示唆された。また、FGF21は脂肪組織における脂肪分解(トリグリセリドの脱エステル化)促進作用が知られているが、血中FGF21濃度は血中アラニン濃度が低いGRmKOマウスで高く、アラニン投与によって野生型と同等に復していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究計画はほぼ予定通り達成した。
本年度は、骨格筋から血中へのアラニン放出を制御する分子機構と肝臓における血中アラニン濃度のセンシング機構の解明に向けた研究を加速させる。
ただし、肥満病態モデルマウス(レプチン機能欠損ob/obマウス、高脂肪食負荷マウス)を背景としたGRmKOマウス作製は当初計画からやや遅れている。

今後の研究の推進方策

骨格筋から血中へのアラニン放出を制御する分子機構と肝臓における血中アラニン濃度のセンシング機構の解明を通じて全身のエネルギー代謝制御機構の解明に向かう。
なお、分子レベルの研究成果を個体で検証することが必須であり、肥満病態モデルマウス(レプチン機能欠損ob/obマウス、高脂肪食負荷マウス)を背景としたGRmKOマウス作製を急ぐ。

次年度使用額が生じた理由

実験計画のおくれ(次年度へのずれ込み)により消耗品費支出が抑えられた。成果発表が次年度に先送りされた。以上から繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

前年度おくれていた実験を加速化させるための消耗品支出と成果発表旅費に充てる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] German Cancer Research Center(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      German Cancer Research Center
  • [雑誌論文] A Muscle-liver-fat signaling axis is essential for central control of adaptive adipose remodeling2015

    • 著者名/発表者名
      Shimizu N, Maruyama T, Yoshikawa N, Matsumiya R, Ma Y, Ito N, Tasaka Y, Kuribara-Souta A, Miyata K, Oike Y, Berger S, Schuetz G, Takeda S, Tanaka H
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: 6693

    • DOI

      10.1038/ncomms7693

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Plenary Lecture「Muscle and glucocorticoids」2017

    • 著者名/発表者名
      Tanaka H
    • 学会等名
      10th International Meeting of Pediatric Endocrinology
    • 発表場所
      Washington, D.C. , USA
    • 年月日
      2017-09-14 – 2017-09-17
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Mechano-Metabo Coupling: Skeletal muscle volume regulation and systemic energy metabolism2016

    • 著者名/発表者名
      田中廣壽
    • 学会等名
      第59回 日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-21
    • 招待講演
  • [学会発表] ステロイドによる筋萎縮研究から 骨格筋ー肝臓ー脂肪代謝ネットワークの発見へ2016

    • 著者名/発表者名
      田中廣壽
    • 学会等名
      第2回病因研究会別府シンポジウム
    • 発表場所
      別府湾ロイヤルホテル(大分県速見郡日出町)
    • 年月日
      2016-02-06 – 2016-02-07
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋と全身のエネルギー代謝2015

    • 著者名/発表者名
      田中廣壽
    • 学会等名
      第1回 日本筋学会学術集会
    • 発表場所
      国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)
    • 年月日
      2015-08-08
    • 招待講演
  • [学会発表] GRと骨格筋-肝臓-脂肪代謝ネットワーク2015

    • 著者名/発表者名
      田中廣壽, 清水宣明, 吉川賢忠
    • 学会等名
      第88回 日本内分泌学会学術総会 シンポジウム「代謝と核内受容体」
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ東京(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25
    • 招待講演
  • [備考] Molecular genetics

    • URL

      http://www.uni-heidelberg.de/izn/researchgroups/schuetz/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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