初年度に引き続いて、光電脈波測定データと加速度センサのデータから脈波を推定する方法について検討を実施した。同時に、電界センサによる体動の検出と体動に含まれる脈波データの抽出、および、画像データからの脈波データの抽出に取り組んだ。その結果、画像データは電磁界センサよりも測定が簡便である一方で、適切な条件を満たせば、身体の複数箇所で脈波データを忠実に取得できることが明らかとなった。そこで今年度は、動画像データからのバイタルデータの取得方法を中心に検討を実施した。
血液が緑色の光をよく吸収することから、手のひらの動画像を一定時間毎に区切り、緑色成分の平均値を計算することで画像から脈波を抽出できる。精度を向上するため、体動や環境光等の変化を除去する多項式フィルタと自己相関を用いる心拍間隔推定手法を新たに考案した。広く市販されているコンパクトカメラによる撮影画像から求めた心拍間隔は、精度の基準とした光電式容積脈波センサによる結果と比較し平均絶対値誤差で14ミリ秒以内に収まっており、極めて高い推定精度が得られた。また、若干の体動や照明条件の変化があっても、推定を正常に行うことができる。血圧と相関する数値を求めるには至っていないが、脈拍数に加え、様々な疾病やストレス等の指標の一つとして用いられる心拍間隔についても良い精度で推定が可能となったことは、非接触でのバイタルデータ取得に向けた大きな進展であると考える。
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