ヒトの脳にも可塑性があることは広く認められているが、一生の間に環境の影響を受けて脳はどのように変化しているのかについては全くデータがない。自然経過における脳への遺伝と環境の影響を明らかにする最適の方法はふたご研究であり、このたび環境の影響を受けにくい運動感覚機能をあらわす運動誘発脳磁界、および環境の影響をより受ける言語機能の動詞想起課題を行う際の脳活動を、脳磁図を用いて計測した。その結果ふたご間で運動誘発脳磁界の潜時差が有意に小さくなっていた。言語機能については左前頭葉での事象関連脱同期のパワー値が一卵性ふたご間でより高い相関を示し、高齢になっても遺伝の影響と環境の影響は同程度に認められた。
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