研究課題/領域番号 |
15K12702
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
玉江 和義 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80341527)
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研究分担者 |
平野 雄 鎌倉女子大学, 家政学部, 教授 (40258629)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分子疫学 |
研究実績の概要 |
本研究では、脂肪細胞分化誘導能、および血清中Reactive Oxygen Metabolites(ROM:酸化ストレス)およびBiological Antigen Potentials(BAP:抗酸化力)、血液生化学の指標を包括的に適用・評価することが、思春期の「ライフスタイル、健康、肥満の評価」「これらの長期予後の推定」にどの程度有効であるのかを明らかにするため、思春期~中高年期を対象に、質問紙調査、少量の採血、採尿を実施し、当該変数間の関連構造などを統計学的に解析して検討を加えることを目的としている。高校生は125名からデータを収集できた。その結果、ROMは302.4±55.9(U.CARR)、BAPは1948.3±505/Lであり、著しい値はほとんど見られなかった。同じく、尿酸、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP、hbA1c、Ca、P、Fe、白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値、MCV、MCH、MCHC、血小板数の値もおよそ正常範囲内に収まっていたことから、本対象者の一般的健康状態には問題がないことが示された。また精神健康レベルを反映するCES-Dスコアも、18.9±8.1であり、著しい問題は見いだせなかった。この傾向は大学生も同様であった。ただし、中高年対象の測定がまだできておらず、予定していた試料収集は完全に終えていない状態である。同じく、脂肪細胞分化誘導脳の分析もやや遅れたため、鋭意進行中である。もちろん、現時点で得られたデータについては、上記の分析に加えて、質問紙調査による記述データの分析も進めており、血清や尿の指標とライフスタイルや学校内外のライフイベントおよび属性要因などとの関連性について検討を行ってきている。その結果の一部を用いて、現在、原著論文の執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属する大分大学教育学部に倫理委員会が存在しなかったため、大分大学医学部にて倫理審査を依頼し承認を得た。ただし、学部が異なること、および前例が皆無であったことから、その一連の手続きにかなりの時間が費やされた。そのため、必然的に当初の進行予定よりも遅れ気味である。また、研究対象としていた健康教室が突如閉鎖となったため、異なる組織の協力を得るのに時間がかかったことも、予定が滞った原因である。
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今後の研究の推進方策 |
上述のごとく、現在、一部の対象者からの試料収集ができていないため、遂行スピードを上げていく必要がある。対象者側と綿密に協議を重ね、可及的速やかに実施をしていきたい。ただし、極めて軽微ながらも侵襲を伴うため、スピード実施にだけ傾注することはせず、安全・健康管理において十分な準備を第一義にして実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述のように、倫理審査の承認が遅れたため、その分、一部の研究対象者からの試料収集ができなかった。これにより、予定では使用するはずであった物品費や人件費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度では、懸案が概ね解消されているので、昨年度に使用しなかった物品や人件費を用いて、滞った分を実施していく予定である。
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