本研究では特に思春期対象にて,BMIや血液生化学指標、血清中Reac tive Oxygen Metabolites(ROM:酸化ストレス)およびBiological Antigen Potentials(BAP:抗酸化力)という酸化ストレス指標、脂肪細胞分化誘導能(Adipocytes Differentiation Induction Potentials: ADIP)を定量した.並行して、ライフスタイル,ストレスなども調査し、以上の血清中指標の定量が思春期の「ライフスタイル、健康、肥満の評価」「これらの長期予後の推定」にどの程度の有用性があるのかを検討した。 ADIPはROMやBAPと有意な相関を示し、中性脂肪(TG)、総コレステロール(T-Chole)、LDLとも有意な関連性を示した。単変量分析では、ADIPはTGよりもT-Chole、LDLと強い関連程度を示しており、ADIPは、生活習慣の良し悪し、そして脂質代謝異常に関する評価指標として有用であることを示唆する結果が導かれた。この傾向は、思春期にて、またADIPとROMおよびBAPによる複数の指標を総合的に評価することにより、若年期における生活習慣および肥満性疾患リスクの評価を中心とした予後の健康評価に適用できる可能性が窺われた。 以上の成果は、投稿中の学術論文とともに、学術学会への発表も、6報を数えている。ADIPの測定・分析のプロトコールの改良も行った。
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