研究課題/領域番号 |
15K12711
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
酒井 弘美 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (40624945)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 上肢機能回復 / ポータブル / 訓練機器開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳卒中片麻痺上肢に対するポータブル簡易訓練機器を開発し、その効果を検討することである。 現在、療法士の介入で行われている一般的な上肢機能回復訓練を機器で代用し、機能回復に必要な訓練機会と時間を確保しようとするものであり、回復段階や目的に応じていくつかのバージョンを作成し、それに応じて使い分けることによって、療法士の介入がなくとも、適切で十分な運動量を確保することを目的とした。また、一般病院や施設、家庭でも使用できるよう小型軽量低コストを目指している。 平成27年度は、日常の訓練でよく使用されている机上でのワイピング動作を取り入れ、機能回復段階として麻痺側上肢に分離運動が見られるブルンストロームステージⅣ以上の方に対して使用する自動型を開発した。自動型は、机上でのreaching動作を補助・強化する「ポータブル上肢機能訓練機器(portable active reach training system: PARTS)」として、第49回日本作業療法学会において、その概要を紹介し、慢性期片麻痺患者に使用した例を報告した。PARTSは、患手を乗せるデバイス(移動体)とそれに取り付けたマウスを使って、パソコン画面上で運動軌跡を確認しながら、机上reaching動作の反復訓練を行う事ができるものであり、楽しみながら訓練ができるよう、ゲームも同時に作成した。また、ノートパソコンと机があればどこでも訓練が実施できるよう小型軽量化を行った。 また、研究計画にある基本デバイスを用いての机上動作の解析については、健常者5名、片麻痺患者3名に対して3次元動作解析と筋電図解析を実施しており、28年度の作業療法学会で発表予定である(採択済み)。加えて、近隣の回復期リハビリテーション病院での臨床試験を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の後半に予定していた他動型の開発において、軽量化と安全性の確認に時間がかかっているため研究計画に遅れが生じている。また、臨床研究を行う予定であった病院での倫理審査に時間を要したため、自動型の効果判定を行う研究に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
自動型については、効果判定のための評価・訓練マニュアルを作成し、近隣のリハビリテーション病院で臨床研究を開始している。また、これまでのパイロットで明らかになった幾つかの問題点についても改善を行う予定である。 他動型については、臨床実験を行えるよう製作担当者を相談しながら開発を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器開発において、他動型の開発が不十分であり、臨床試験用に複数台を作成するまでに至らなかったため。また、国内での発表において、別の演題報告の分と合わせて、科研費以外(所属大学の個人研究費)を使用したので、旅費に予定した部分がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、自動型臨床試験と他動型の作成・臨床試験が中心となる。そのため、被験者への謝礼および、他動型機器の開発費用に使用することを計画している。また、その報告についての学会旅費、および海外誌への論文投稿用費用に使用する。
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