研究課題/領域番号 |
15K12712
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60544393)
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研究分担者 |
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (20570782)
椿 淳裕 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50410262)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水中 / 脳酸素動態 / 体循環 |
研究実績の概要 |
本研究では、水泳・水中運動の安全な実施を促進することを目的に、水中での脳酸素動態を明らかにした上で、そのメカニズムを解明する。 平成27年度は、水中安静時の脳酸素動態とそのメカニズムについて、呼吸循環器系のパラメータとの関係性を検証した。具体的には、健常成人男女9名を対象に、水中安静時の脳血流、脳酸素化ヘモグロビン、下肢筋血流量、酸素摂取量、換気量を同時計測した。プロトコルは、3分間の陸上安静、15分間の注水、5分間の腋下浸水、5分間の排水、5分間の陸上安静とし、総計測時間は33分であった。水温および室温は、34±1℃および28±1℃に設定した。その結果、注水後期局面において、脳酸素化ヘモグロビン濃度が高まり、浸水局面ではそのレベルが維持された。この反応には、脳部位特異性が存在し、前補足運動野領域では酸素化ヘモグロビン濃度の上昇は認められなかった。一方、頭皮血流量、全身の酸素摂取量および換気量には有意な変化が認められなかった。今後、心拍出量の変化も含め、全身の循環動態の関連性を明らかにしていく。 また、平成28年度実施予定の実験に備え、運動時の脳酸素動態および呼吸循環器反応を計測した。具体的には、健常成人14名を対象に、低強度および中強度運動時の脳血流、脳酸素化ヘモグロビン、下肢筋血流量、酸素摂取量、換気量を同時計測した。その結果、運動開始初期には、一過性に前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度が低下すること、低強度運動では運動終了後に前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度が上昇する傾向がみられた。今後は、これらの結果をもとに、浸水および陸上環境における運動時の脳酸素動態を計測していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、水中安静時の脳酸素動態とそのメカニズムについて、呼吸循環器系のパラメータとの関係性を検証する予定であったが、予定通り実施することができた。しかし、当初計画では心拍出量の推定も実施する予定であったが、浸水中の計測においてノイズが増大したため、27年度の計測は延期した。その後、電気工学の専門家などと議論を重ね、当該問題を解決することができたため、28年度に実施する予定である。 当初28年度開始であった運動時の計測について、前倒しで予備実験を実施できた。平成28年度はこれらの結果をもとに、実験を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、予定通り、水中運動時の脳酸素動態、体循環および換気の同時計測を行い、脳酸素動態に呼吸循環器反応が及ぼす影響を明らかにしていく。具体的には、健常成人を対象に、水中および陸上における中強度運動時の脳血流、脳酸素化ヘモグロビン、下肢筋血流量、酸素摂取量、換気量を同時計測する。
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