研究課題/領域番号 |
15K12715
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
小畑 友紀雄 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (80625244)
|
研究分担者 |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30432636)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | NASH / NAFLD / GPR120/FFAR4 / DHA / 肝臓 / 白色脂肪組織 |
研究実績の概要 |
本研究は、長鎖脂肪酸受容体 GPR120/FFAR4 シグナリングに焦点を当て、非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の病態進行機序の解明を行うことを目的とした。さらに、GPR120/FFAR4 選択的アゴニストのドコサヘキサエン酸 (DHA) の NASH 抑制作用についても検討を加えた。 1. GPR120/FFAR4 は、白色脂肪細胞および回腸に主に発現していること、肝臓にはほとんど発現が認められないことを qPCR 法により明らかにした。また、既存の市販されている GPR120/FFAR4抗体を幾つか検討したが、いずれも非特異的なシグナルが検出されるため、蛋白レベルでの検討は、現段階では不可能であると判断した。 2. DHA の NASH モデルマウスへの有効性を検証した。通常食(MF)または超高脂肪コリン欠乏メチオニン低減飼料(CDAHFD;メチオニン0.1%、60 Kcal% 脂肪)は 2 週間摂取させた。DHA (97%エチルエステル体)は、CDAHFDの1週間摂取後から、ゾンデにて1日1回1週間強制経口投与した。CDAHFD の 2 週間摂取によって、WT と比較して AST および ALT 値の有意な増加が認められた。肝臓では、大滴性の脂肪滴沈着、F4/80, IL-6, collagen type 1 α および TGF-β の mRNA 発現が有意に増加した。一方、白色脂肪組織においても TNF-α、collagen type 1 α および TGF-β mRNA の発現増加および F4/80 陽性の王冠様構造が認められた。さらに、白色脂肪の GPR120/FFAR4 mRNA 発現は WT と比較して有意に増加し、この増加は、DHA 投与によって、抑制された。以上より、DHA は、NASH の病態進行を抑制することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【平成27年度】は、超高脂肪コリン欠乏・メチオニン低減 (CDHA)飼料を負荷した NASH モデルマウスを作製し、NASH 病態進行過程における GPR120/FFAR4 の蛋白質発現およびその機能変化について解析した。また、 GPR120/FFAR4 の選択的アゴニストや omega-3 系脂肪酸を投与し、NASH 病態形成への影響を検討した。
|
今後の研究の推進方策 |
GPR120/FFAR4ノックアウトマウスを用いて、NASH 病態形成機構における GPR120/FFAR4 の関与について、病態進行における GPR120/FFAR4 の責任部位やその制御因子の解明を行う。
|