研究課題/領域番号 |
15K12725
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
|
研究分担者 |
宮城 政也 琉球大学, 教育学部, 准教授 (80316215)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 身体活動 / 体力 / 学力 / 学校保健 |
研究実績の概要 |
本研究は,学力・体力両面に課題を抱える沖縄県の児童生徒を対象として,これまで相反すると考えられていた身体活動と学力との関連性について3年間縦断的に検討することを目的としている.また,介入プログラムの開発を試みる.3年目にあたる平成29年度は,児童生徒の身体活動と学力との関連性について様々な交絡因子を考慮した質問紙を用いて,3回目のフォローアップ調査を実施した.対象は沖縄県一教育事務所管内の中学校5校に在籍する3年生612名である.ベースライン調査および2回目フォローアップ調査と同様に,学級における質問紙調査により身体活動および座位行動を含む生活習慣,家庭・学校生活要因,社会経済状態,健康指標等に関する情報を収集した.体力および学業成績として,各中学校より体力・運動能力調査と各教科の1学期末成績評定に関するデータを収集した.これらの収集データを連結し匿名化して分析に用いた.本研究計画は琉球大学疫学研究倫理審査委員会および当該教育委員会の承認を得ている.
3年目の学業成績を従属変数とした重回帰分析の結果,男子においては,1年目の学業成績および20mシャトルラン回数は,3年目の学業成績に対して正の関連を示した.この関連は,その他の潜在的な交絡因子の影響を考慮したうえでも有意であった.女子においては,1年目時点の学業成績のみが3年目の学業成績に対して正の関連を示した.介入プログラムの文献レビューの結果,10編を該当論文として抽出した.体育授業以外の教科学習中に教育的要素を組み込んだ身体活動プログラムの教育的効果は,ポジティブあるいはニュートラルという結果であった.身体活動量については,プログラム内容に依拠した確かな増強が認められた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画通り,研究対象校や当該教育委員会の協力を得て,3年目の追跡調査を実施できた.昨年度と同様に,様々な潜在的交絡因子を含めた質問紙調査データ,体力・運動能力調査データ,学期末成績評定データを連結した3年間のパネルデータセットを作成でき,3年間の追跡データの分析を実施した.これまでの研究の成果および介入プログラムに関する文献レビューの結果も含めて,学会発表を行った.しかし介入プログラムの考案まで至らなかったので,現在までの進捗状況はやや遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
今年の研究の推進方策として,3年間の縦断調査データから明らかになった研究成果を加えて学会発表を行い,学術論文を投稿することによって,公表・報告する予定である.また,現在,投稿中の学術論文を受理させ,印刷させる.さらに,介入プログラムを考案することを目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
以下の理由で,当該助成金を節約した. 研究成果についての投稿論文が次年度出版になり,その費用が必要となること,最終年度の研究成果を次年度に開催される学会(ISPAH,英国,10月;日本学校保健学会,大分,11月)で発表する予定のために,その旅費が必要となること.
|