研究課題/領域番号 |
15K12727
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
半田 知也 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (20383648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 就学時視機能検診 / 視力検査 |
研究実績の概要 |
就学時に行う視機能検診は学校保健法で実施が定められているが、実際は各自治体で行い方は異なり,検査法も自治体の考え方に依存している。学校保健安全法施行規則を準拠し,簡便で精度の高い視機能検査が行えるシステムがあれば,実質的な視機能検診の施行の効果的である。視機能検診が実施困難な背景には,短時間で100名を超す小児の視機能を小児の自覚応答から正確に検査する方法が見いだせておらず,現実的に実施が困難であるためである。そこで,今回は従来にはない効率的・効果的な就学時視機能検診システムを映像提示技術を用いた視機能検査装置をもとに開発することを目標とした。装置開発にあたり、実際の健診会場を視察し、検診会場の設置スペース、電源の確保、準備時間などを検討した。計画当初は映像提示装置としてモニター及びPCにて映像制御を行う予定であったが、実際の検診会場と検診時間を検討の上、タブレット端末に映像提示し、リモコン通信技術を用いて映像提示を制御できる方法を選択した。本年度はタブレット端末に検診会場の設置スペースに応じた検査距離5m,3m及び1mの視力検査視標を提示できる装置を開発した。平成27年度相模原市就学前検診の一部において従来の視力検査とともに本開発装置を試験的に設置した。その結果、タブレット端末という現代の小児の興味及び注目を引く装置構成の効果もあり、小児の注目を集めやすく、効率よく視力を評価できる可能性が示唆された。本開発装置は就学前視機能健診に必要な検査項目の視力検査を効率よく実施できる装置である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、就学時検診システムの作成を行い、視力検査装置の開発は行った。開発した視力検査装置と従来の視力検査表との視表提示に関する一致を確認した。次年度相模原市就学前検診での応用展開にむけた装置の準備は完了した。研究計画に取り上げている眼位検査、立体視検査は開発予算及び実際の検診会場の都合により、3Dモニター映像提示から、タブレットを映像提示装置として用いたため、3D映像表示が困難となった。それゆえ、新しくタブレットを用いて眼位検査、立体視検査を簡便にスクリーニング検査できる検査ソフトの開発が必要となり、平成28年度に解決すべき課題である。学校保健法に定められている就学前検診項目としては必須事項ではないが、通常の視力検査が困難な小児、検査の判断ができない小児を対象として用いるべく、次年度に追加開発を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
就学時視機能検診システムと従来の視力検査装置を用いた結果の一致性を健常被検者を対象として検討する。また同様に眼位検査、立体視検査をスクリーニング的に実施できる検査表の作成を行う。平成27年度及び28年度に開発した就学時視機能検診システムを地方自治体の就学時検診での視力検査装置としての応用展開を見据えて,平成28年度の実際の就学時視機能健診会場で検討および,検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表を行ったが発表を行った会場が近隣であったため、学会旅費の支出が不要であった為である。
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次年度使用額の使用計画 |
追加開発を行う検査表作成費及び平成28年度学会出張予算として使用する予定である。
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