就学時健康診断における視力検査は学校保健法で実施が定められている。実際の視力検査の実施方法は各自治体の実施体制によって異なり、多数の小児の視力を定められた時間内に正確に検査する人員的,時間的方法が見いだせていない実状であった。本研究ではタブレット端末に視力提示(検査距離は検査会場に応じて5m、3m、1mに変更可能)し、リモコン通信による映像制御が可能な装置を開発した。開発した装置の視力標の従来機器とのい一致性を確認した後、平成27年度相模原市就学前健康診断(健診)で従来の視力標と本開発機器を試験的に設置した。タブレット端末という現代の小児の興味を引く装置構成の効果もあり、小児の注目を集めやすく、機器の設置及び設定も簡便であり、健診における視力検査装置としての有用性が確認できた。平成28年度には平成27年度に開発したタブレット端末を用いて立体視検査(通常の視力検査に応答できない小児に対して実施、及び検査結果から眼位異常もスクリーニング)提示できるよう立体視検査画像を作成した。平成28年度相模原市就学前健康診断(健診)で本装置による健診を相模原市教育委員会と検討の上、実施し、短時間で簡便に検査可能であった。 本件の成果は,学校保健安全法施行規則に準拠した就学時健康診断における視力検査がタブレット型の視機能健診システムを用いることで簡便に実施できることが示された。 本研究成果は小児及び地方自治が抱える就学時健康診断における視機能検診を実施するための一助となる可能性が示された。
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