OVA誘導性アナフィラキシーモデルを用いて,自発運動による抑制効果についてBALB/cマウスを用いて,さらに検討を行った。方法として,マウスに対しOVAおよび水酸化アルミニウム混合液を腹腔内に複数回投与してOVA感作を行った。この感作期間中に自発運動を実施させた。その後,OVAを再曝露し,アナフィラキシーを発症させ自発運動の影響を観察した。その結果,自発運動実施を実施したマウスにおいて,アナフィラキシー症状が非運動群と比較して顕著に抑制された。この結果は,前年度までに先行して行ったC57BL/6Jマウスでの結果を支持するものであり,この現象がマウスの系統に関わらず再現性よく観察されること減少である可能性が示唆された。さらに,この自発運動実施がマウス炎症性腸疾患モデルであるDSS大腸炎においても,症状を抑制することを観察した。これらの結果は,「習慣的な自発運動が過剰免疫応答を抑制する」ことを示唆するものであり,大変興味深いものであった。 また衛生仮説モデルとして不衛生環境下で飼育したマウスにおけるアレルギー抑制効果について検討したところ,腹腔感作においては不衛生環境飼育によりアナフィラキシー症状が抑制されたにもかかわらず,経皮感作ではむしろ悪化する傾向が観察された。近年,食物アレルギーの感作経路として経皮感作が問題視されており,またヒトを対象とした研究では食物アレルギーでは衛生仮説が適応されないことが報告されている。本研究で得られた結果は,この疫学結果と一致するものであった。
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