研究課題
生物活性天然物の改変を行った既存の研究では、化合物の構造を変更し、より良い活性や薬物動態を示すものに『改良』するのものが中心であった。一方で本研究では、天然には存在しない人工の生物活性を有する天然物様化合物(人工天然物)をゼロから『創製』することを目標とする。人工天然物の候補としては、主鎖にヘテロ環骨格をもつペプチドに注目した。本計画では、1.主鎖に多彩なヘテロ環を含むペプチドの試験管内生合成系の開発、2.この系を用いて作成した化合物ライブラリーから望みの生物活性分子の探索法の確立、を小目標として設定する。これらを順次達成し、任意の生物活性を示す人工天然物の創製手法を構築することを最終目標とする。本研究課題では、申請者がこれまでに開発してきた改変翻訳系・高い基質許容性を持つペプチド修飾酵素(PatD)・水中で進行する有機化学的骨格変換反応、の三者を組み合わせることで、多彩な主鎖修飾ペプチドを合成する人工生合成系の開発に成功した。具体的には、当初の計画通り、アゾリジン骨格含有ペプチド・アゾール骨格含有ペプチドとを生産する系を確立したのに加え、脱酸素型アミド結合を主鎖に含む化合物の試験管内生合成も達成した。また、これらの人工生合成系をが多彩なペプチド配列の合成に適用できることも実証し、当該人工生合成系を活用することで人工天然物候補の大規模化合物ライブラリーを簡便に構築することにも成功した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件)
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