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2016 年度 実施状況報告書

オルガネラ選択的オートファジーの新奇可視化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K12749
研究機関順天堂大学

研究代表者

谷田 以誠  順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (30296868)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードオートファジー / マイトファジー / ペキソファジー / リソソーム / GFP / pHluorin / タンパク質分解 / オルガネラ分解
研究実績の概要

オートファジーは細胞内バルク分解システムで、神経変性疾患の発症を抑止している。申請者らは、オートファジーの中でも、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患に深く関与するマイトファジー(ミトコンドリア特異的オートファジー)をリアルタイムでモニターする測定系の開発を目指し、昨年度、IRESを用いてミトコンドリア標的シグナルをもったpHluorin-mitoとmKate2-mitoを単一プロモーターで発現するプラスミド(pHluorin-mito-IRES-mKate2-mito)を作成した。本年度は定量的評価のために安定発現させる細胞株を容易に作成できるようにするために、エピゾーマル型プラスミド、pEoEF1、を用いたpHluorin-mitoとmKate2-mito発現系の確立をおこなった。
ペルオキシソームは環境攪乱化学物質の代謝に関与しており、攪乱物質がペルオキシソーム増殖因子として働く。また酸化ストレスに応じて、障害を受けたペルオキシソームはペキソファジー(ペルオキシソーム特異的オートファジー)によってリソソームにより分解される。しかしながら、ペキソファジーを高感度・リアルタイムで可視化モニターする測定系は未だ開発されていない。そこで我々はpHluorin-mKate2タンデム蛍光蛋白質に、ペルオキシソーム局在配列をつけペルオキシソームに局在する場合には、緑色・赤色の2重蛍光を発し、酸化ストレス等によりペキソファジーが誘導された場合にはペルオキシソームがオートファゴソームに取り囲まれ、リソソームに融合した時点で赤色蛍光のみを示すことで、ペキソファジーを可視化・モニターできるプローブを作成した。
ダイナミックな膜動態を伴うオートファジーに於いて、ゴルジ体を介した膜輸送は重要な機能ユニットであるため、ゴルジ体のpHをモニターする系も作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マイトファジーを定量的評価のために安定発現させる細胞株を容易に作成できるようにするために、エピゾーマル型プラスミド、pEoEF1、を用いたpHluorin-mitoとmKate2-mito発現系の確立した(pEoEF1-pHluorin-mito-IRES-mKate2-mito)。COS1細胞にこのプラスミドを導入し、ミトコンドリアへの局在を確認した。pHluorin-mitoでは一部細胞質に拡散する傾向が認められた。EGFP-mitoではそのような事はないので、pHluorinはGFP variantの一つであるが、細胞質へ分布しがちな傾向はpHluorin特有のものの可能性が高い。pHluorin-mitoの一部細胞質に拡散する傾向は、共焦点レーザー顕微鏡ではあまり問題にならないと思われるが、通常の蛍光顕微鏡を用いてマイトファジーを解析しようとすると問題になる可能性がある。この点は慎重に検討する必要がある。
ペキソファジーを高感度・リアルタイムで可視化モニターする測定系を開発するためのpHluorin-mKate2タンデム蛍光蛋白質にペルオキシソーム局在配列をつけたペキソファジープローブは作成できた。現在、ペルオキシソームへの局在を確認中である。
ダイナミックな膜動態を伴うオートファジーに於いて、ゴルジ体を介した膜輸送は重要な機能ユニットであるため、ゴルジ体のpHをモニターする系も作成した。通常、オートファジーの活性を測定するために、V型H+-ATPaseをバフィロマイシンA1によって阻害する方法が汎用されている。しかしながら、V型H+-ATPaseは様々なオルガネラに分布するために、バフィロマイシンA1による評価法は、好適とは言えない可能性がある。その評価のために、ゴルジ体のpHをモニターする系を作成した。

今後の研究の推進方策

今年度が研究計画の最終年度にあたるため、現在までに作成したプローブを用いた評価法について、マイトファジーのアッセイ法、ペキソファジーのアッセイ法、オートファジー評価系におけるゴルジ体の構造および内腔pH変化について、データをまとめ、各々の研究を学会発表・論文発表へとつないでいく予定である。
マイトファジーについては、pHluorin-mitoとmKate2-mitoを用いて、HeLa細胞における定量評価法についてまとめる予定である。同時に、細胞によってはParkinの発現量に影響をうけマイトファジーが見られない物があるので、その点も改良できればと考えている。
ペキソファジーについては、酸化ストレスによって誘導されるペキソファジーを評価し、併せて、酸化ストレスを誘導する環境因子にも注目して解析をおこなう。
ゴルジ体のpHについても、オートファジー評価条件におけるバフィロマイシンA1の影響について調べ、カテプシン阻害剤のゴルジ体への影響の有無と併せて、研究を展開していく。予備実験的にはバフィロマイシンA1処理によって、ゴルジ体の形態も変化し、ゴルジ体内腔のpHも中性付近に上昇しているようである。これをオートファジーフラックスアッセイに用いられる別のカテプシン阻害剤と比較して、ゴルジ体における影響の有無、オートファジー活性評価における問題点・改良点について検討する。

次年度使用額が生じた理由

当初、想定していた消耗品に幾つかについて、よりやすい製品が実験につかえたので安くてすんだ。また、研究推進を優先して国内外の学会の参加を見送った。論文の投稿料・校正費用があまりかからなかったため。

次年度使用額の使用計画

最終年度にあたり、より発展的な研究へと進展できるように実験をすすめる。また研究成果をまとめ、論文投稿・学会発表を積極的に行なうために、使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Use of pHlurorin-mKate2-human LC3 to Monitor Autophagic Responses2017

    • 著者名/発表者名
      Isei Tanida, Takashi Ueno, Yasuo Uchiyama
    • 雑誌名

      Methods in Enzymology

      巻: 587 ページ: 87-96

    • DOI

      10.1016/bs.mie.2016.09.054

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Occludin-knockout human hepatic huh7. 5.1-8-derived cells are completely resistant to hepatitis C virus infection.2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Shirasago, Yoshimi Shimizu, Isei Tanida, Tetsuro Suzuki, Ryosuke Suzuki, Kazuo Sugiyama, Takaji Wakita, Kentaro Hanada, Kiyohito Yagi, Masuo Kondoh, Masayoshi Fukasawa
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 39 ページ: 838-848

    • DOI

      10.1248/bpb.b15-01023

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Guidelines for the use and interpretation of assays for monitoring autophagy (3rd edition).2016

    • 著者名/発表者名
      Daniel Klionsky et al.
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 12 ページ: 1-222

    • DOI

      doi: 10.1080/15548627.2015.1100356

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 酸性pH感受性緑色蛍光タンパク質pHluorinを用いたマイトファジーモニタープローブの作成2017

    • 著者名/発表者名
      谷田 以誠
    • 学会等名
      第122回 日本解剖学会学術集会・総会
    • 発表場所
      長崎大学坂本キャンパス
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [備考] Isei Tanida - Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=C9H0DzcAAAAJ&hl=en

  • [備考] 谷田以誠 J-GLOBAL

    • URL

      http://jglobal.jst.go.jp/public/200901034804710043

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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