研究課題
ドリコールは炭素数55を超える長鎖ポリイソプレイドであり、生体内においては膜内外への糖鎖輸送の際に、膜に糖鎖をつなぎとめる錨として機能している。ドリコールはトランス型の3置換オレフィンとシス型の3置換オレフィンが混合した構造を有している。本研究ではドリコールに含まれるオレフィンを全トランス型としたものをドリコールアナログとして設計・合成し、オレフィン幾何異性の違いが錨の機能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とする。イソプレン単位が20連結した炭素数100の全トランス型ポリプレノールを合成標的に定めた。標的分子の合成はこれまでに報告されていないため、その合成経路を確立する研究を開始した。当初C55のポリプレノールから順次C15の炭素鎖を延長する経路を試みたが炭素鎖が80を超えた時点で、収率の顕著な低下が認められた。そこで、C45とC55の炭素鎖を別々に合成し、それらをカップリングする方法を試み、続く脱スルホン化と脱保護を経由して目的物を合成した。生体膜との作用を検証にはアリルアルコール部位のリン酸化が必要となった。長鎖イソプレノイドのリン酸化の例は報告例が乏しいため、短鎖のモデル化合物を用いたリン酸化を試みた。核酸合成で広く用いられている亜リン酸クロリド試薬と過酸化水素を用いる方法を試みたが、目的物を得ることができなかった。ことなるリン酸化法なども検討したが改善につながる結果を得ることはできていない。現在、アリルクロリドへの変換に続く、ジリン酸化の適用を試みている。
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Chemical Science
巻: 8 ページ: 印刷中
doi:10.1039/C8SC00289D
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 56 ページ: 14913-14917
org/10.1186/s40409-017-0119-6
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/chem/henkan/