研究課題
細胞増殖を抑制する化合物が、どのようなメカニズムで作用しているのかを明らかにすることは、創薬研究に大いに役立つのみならず、生体高分子の細胞内機能を知る上でも重要である。動物培養細胞での網羅的shRNAライブラリースクリーニングは、化合物の直接の分子標的だけでなく、細胞の化合物への感受性に関わる遺伝子群を同定することができる。今年度は、昨年度に行ったshRNAライブラリースクリーニングで得られた候補遺伝子の解析を進めた。また、新たに標的既知化合物の感受性に関わる遺伝子同定を目指したshRNAライブラリースクリーニング、がん細胞株の増殖に必須な遺伝子の同定を目指したshRNAライブラリースクリーニングを行った。スクリーニングの際はshRNA同定のために、PCRアンプリコンの次世代シークエンスを行うが、サンプル毎に異なるインデックス配列をPCRプライマーに付加することによって複数サンプルの同時シークエンスが可能となった。この方法を用いて、海洋天然物オーリライド Bなどの化合物の感受性に関わる遺伝子同定を目指したスクリーニングを行なった。その結果、Na+/K+ ATPaseの触媒サブユニットの遺伝子をノックダウンすると、オーリライド Bへの感受性が顕著に高まることがわかった。さらにNa+/K+ ATPase阻害剤であるウアバインとオーリライド Bを併用することによりアポトーシスが亢進したことから、Na+/K+ ATPaseの触媒サブユニットが、細胞のオーリライド Bへの感受性を決定する因子であることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
BMC Cancer
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American Journal of Cancer Research
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http://www.riken.jp/matsumok/index.html