タンパク質メチル化は、環境に応答してダイナミックに変動する可逆的な修飾である。これまでに、遺伝子の転写を司るヒストンタンパク質のメチル化反応について、多くの研究が報告されてきた。また、最近では、非ヒストンタンパク質のメチル化反応も生命現象の制御に重要な役割を果たすことが次第に明らかになり、注目を集めている。しかしながら、メチル化タンパク質を広く認識する抗体の作成が現在も尚困難であり、メチローム解析は遅れている。そこで本研究では、1) 抗体を用いずにタンパク質メチル化を検出する方法論の構築、更には、2) その検出系を用いてタンパク質阻害剤を探索する手法を開発することを目指してきた。これまでに本研究課題では、検出プローブProSeAMの合成及び精製手法の改良に成功し、更には阻害剤探索を融合させることで、新規メチル化阻害剤の開発、更には、その標的基質を同定に成功した。 本年度は、我々が合成した数種のエピジチオジケトピペラジン (ETP) 型阻害剤について、ProSeAMを用いたi) ゲルアッセイ、ii) LC/MS-MS解析によるプロファイリングを検討した。その結果、これまでに報告例のないユニークな基質及び官能基選択性を見出すことができた。更には、新たに見出したETP型阻害剤のin vitroでのIC50値を算出し、また生細胞でのメチル化阻害活性についても知見を得た。これらの研究を通じて、到達目標として設定した非ヒストンタンパク質の新規阻害剤のプロトタイプを創出できたと考えている。
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