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2015 年度 実施状況報告書

単一細胞内質量イメージング実現へのチャレンジ

研究課題

研究課題/領域番号 15K12762
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

高橋 勝利  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 主任研究員 (00271792)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード質量イメージング / 単一細胞 / 紫外パルスレーザー / マトリクス / 植物組織
研究実績の概要

単一細胞内の質量イメージングを実現するために、2015年度、紫外パルスレーザーの集光光学系の大幅な改良を行った。具体的には、紫外レーザーを集光するための対物レンズの倍率の見直しと新しい対物レンズに光を入射するためのビームエキスパンダー倍率の見直しを行った。
従来、倍率3倍のUV対物レンズを使用していたが、これを倍率5倍のUV対物レンズに置き換えた。また、対物レンズに入射するレーザービーム径を対物レンズの瞳径ギリギリにまで拡大し、スポット径を設計限界に近づけるため、ビームエキスパンダーの倍率を10倍とし、再設計したビームエキスパンダーを対物レンズとレーザーとの間に配置した。
これにより、集光焦点におけるレーザースポット径を従来の10ミクロンから5ミクロンに改善することに成功した。レーザースポットサイズを2分の1に縮小したため、試料のイオン化に最低限必要なレーザー強度を4分の1に低減できることを確認した。この分、後の微小アパチャーを介して試料表面にレーザー光を照射する際に見込まれるレーザー共同低下を補償するに十分なレーザー強度を確保できる見通しである。
レーザースポットサイズを微小化したのちに、シロイヌナズナの葉の切片を作成して、DHBAを表面に蒸着した試料の質量イメージングを実施した。その結果、空間分解能10ミクロン設定で行ったイメージング結果に関して、スポット径10ミクロンの場合と比較してスポット径5ミクロンで行ったイメージングの方が、空間解像能が高い事を確認した。しかしその一方で、スポット径を小さくした影響で、シグナル強度が減少していることも観察された。今後、微小アパチャーを介してレーザー光を照射した場合にどの程度感度が低下するのかを評価し、必要に応じてイオンの引き出し光学系の改良を行わなければならない可能性も生じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した通りの進捗状況である。当初予期していた通りの結果が得られた。

今後の研究の推進方策

レーザー集光光学系の改良により、当初予期していた通りの結果を得ることに成功した。スポット径を小さくした事により、イオン化に必要なレーザー強度を下げることが出来ることを確認した一方で、当初予期通り、一回のレーザー照射に伴いイオン化する物質量が減り、シグナル強度も減少することが確認できた。

28年度は、先端に微小アパチャーを形成したAFMプローブを用いてのイオン化実験を予定していたが、その前に、測定感度を向上させるための方策を推進すべきであると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

購入物品の消費税に関して端数が生じたため。

次年度使用額の使用計画

28年度の物品購入時に合わせて使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 2)Cell-specific localization of alkaloids in Catharantus roseus stem tissue measured with Imaging MS and Single cell MS2016

    • 著者名/発表者名
      K.Yamamoto, K.Takahashi, H.Mizuno, A.Anegawa, K.Ishizaki, H.Fukaki, M.Ohnishi, M.Yamazaki, T.Masujima, T.Mimura
    • 雑誌名

      Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America

      巻: 113 ページ: 3891-3896

    • DOI

      10.1073/pnas.1521959113

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 1)Development and application of a high resolution imaging mass spectroscope for the study of plant tissues2015

    • 著者名/発表者名
      K.Takahashi, T.Kozuka, A.Anegawa, A.Nagatani, T.Mimura
    • 雑誌名

      PLANT AND CELL PHYSIOLOGY

      巻: 56 ページ: 1329-1338

    • DOI

      10.1093/pcp/pcv083

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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