研究課題
単一細胞内の質量イメージングを実現するために2015年度、紫外パルスレーザーの集光光学系を大幅に改良し、従来、倍率3倍のUV対物レンズを使用していたところを倍率5倍のUV対物レンズに置き換えるとともに、ビームエキスパンダーの倍率を10倍とし、再設計したビームエキスパンダーを対物レンズとレーザーとの間に配置することにより、集光焦点におけるレーザースポット径を従来の10ミクロンから5ミクロンに改善することに成功した。2016年度は、厚みを持つ非導電性植物組織の質量イメージング分析において致命的な分析感度低下の原因となるチャージアップを防止する目的で、アブレーション能力の高い波長266nm(Nd:YAG4倍波)パルスレーザーを同軸照射し、物質のイオン化とアブレーションによる厚みを持つ非導電性組織への貫通孔形成によるチャージアップ防止により、植物組織の単一細胞質量イメージングに向けての基礎技術の開発に成功した。波長266nmの強力なパルスレーザー光を試料や生成した分子イオンに照射すると、その高い光子エネルギーに起因して断片化イオンを生成することが明らかになった。これを防止するために、イオン化用の355nmパルスレーザーと266nmパルスレーザーの照射タイミングをマイクロ秒オーダーで精密に制御するなどの工夫を行い、断片化イオンの生成を抑制したうえで、厚い非導電性試料によるチャージアップを効果的に抑え、分析感度を大幅に向上することに成功した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Analytical and Bioanalytical Chemistry
巻: 409 ページ: 1697-1706
10.1007/s00216-016-0118-4
Scientific Reports
巻: - ページ: -
10.1038/srep42102