研究実績の概要 |
受精の際に生殖細胞から次世代に伝達される情報には、ゲノム情報に加え、DNAメチル化、ヒストンタンパク質の化学修飾、転写されたnon-coding RNAなどの多数のエピゲノム情報がある。我々は、父マウスの加齢により仔マウスの行動に変化が現れることを出発点として、その背景となるエピゲノム機構の探求を試みている。本年度は、「ゲノム支援」によって得られた精子メチロームについての解析を行った。若齢および高齢由来の精子ゲノム(2個体分)をWGBSにより、それぞれ2,548,898,494および2,539,963,474リードずつシークエンスを実施し、解析ソフトBismarkを用いて、UCSC genome browseのリファレンスゲノム配列(mm9)にマッピングした。若齢および高齢由来精子ゲノムのマッピング効率は比較的低く、それぞれ35~37%および29~43%であった。マッピングデータをもとに、Integrative genome viewerを用いてDNAメチル化を可視化した。また、若齢および高齢由来の精子におけるDNAメチル化の比較解析を実施し、高齢由来の精子において5,610脱メチル化CpG(4561遺伝子)と1,574メチル化CpG(1467遺伝子)を同定した。さらに、DNAメチル化の比較解析における染色体ごとの分布について検討したところ、その分布は一様ではなく、DNA高メチル化CpGについては、第2, 4, 5, 7, 11番染色体において多く、また、DNA低メチル化CpGについては、上記の染色体に加えて、第17番染色体においても多いことが明らかとなった。
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