研究課題/領域番号 |
15K12766
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松本 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50577864)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視覚的注意 / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
前頭前野や大脳基底核には、視覚的注意に関係した多くの領域が存在し、相互に結合することによって複雑なネットワークを形成している。本研究では、このようなネットワークがどのように働くことによって注意の機能を実現しているのか、明らかにしたい。そのため、マカクザルを対象にした神経路選択的な光遺伝学の手法を用いた研究を計画している。平成27年度は、注意を必要とする行動課題を1頭のサルに訓練した。この課題の中でサルは、価値の高い報酬と連合した視覚刺激に注意を向けて、その刺激を選択することが求められる。この行動課題を用いることによって、サルが視覚刺激に注意を向けているときと、向けていないときの神経活動を比較することができる。平成27年度におこなった訓練により、行動課題をおこなうサルの成績が十分安定したため、次年度以降、神経活動の記録をおこない、その活動を光遺伝学の手法で操作したときにサルの注意がどのような影響を受けるのか、解析する実験を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、注意のメカニズムを探るためにデザインした行動課題をサルに訓練し、十分に安定して課題を遂行できるまでに訓練が進んでいる。光遺伝学実験・電気生理学実験のための実験セットアップは既に完了しており、平成28年度は、訓練したサルを用いた実験を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
価値の高い報酬と連合した視覚刺激に注意を向けて、その刺激を選択するという行動課題を1頭のサルに訓練した。今後、この課題をおこなっているサルの前頭前野や大脳基底核の領域から神経活動を記録し、さらに光遺伝学によってその活動を操作する。このようにして、神経活動とサルの注意との因果関係を解析して、前頭前野・大脳基底核ネットワークが注意を実現するためにどのような働きをしているのか、明らかにしていきたい。また、2頭目のサルを使って同様の実験をおこない、データの信頼性を高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的である「注意のメカニズムを明らかにする」ためには、適切な行動課題をサルにおこなわせ、十分に安定した成績でサルが課題を実行する必要がある。そのため平成27年度は、新たな行動課題の設計とそのサルへの訓練に専念し、電気生理実験や光遺伝学実験のための費用を次年度以降に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は集中して電気生理実験と光遺伝学実験をおこなう予定であり、次年度使用額はそのための経費として使用する。
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