研究課題/領域番号 |
15K12772
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研究機関 | 国立研究開発法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
南本 敬史 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳・神経 / イメージング / 霊長類 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では(1)ウイルスベクターを用いて導入した霊長類の脳での外来遺伝子の発現状態を生きた状態でモニターする技術、(2)神経細胞軸索終末に発現させた遺伝子を可視化することによる生体神経路トレーサー技術、の2つの技術を確立することを目的とする。そのために、脳内人工受容体の発現を鋭敏に捉える新規PETプローブを開発し、人工受容体の検出感度と検出精度を飛躍的に向上させたイメージング法を確立することを目指す。 H27年度は、最近人工受容体DREADD(hM4D/hM3D)に対して高い活性を示すことが報告されたperlapine (Chen, 2015)を有力な候補と考え、これを放射性標識化したPETプローブの有効性を検討した。前駆体であるDesmethyl-Perlapineを入手し、放射性標識体[11C]perlapineを合成した。このプローブを麻酔下のDREADD発現遺伝子改変マウス2種(hM3D, hM4D)と野生型マウス(WT)、計3群各2頭に静脈内投与し、PET撮像を実施した。その結果[11C]perlapineの脳内取り込み量は多いものの、hM3D, hM4D群への特異的な結合性についてはWTとの差は明確でなかった。従って、[11C]perlapineは本研究が目指すDREADD発現を鋭敏に捉えるプローブとしての実用性は低いと結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より最適なPETリガンド合成に短時間で到達することは、可能性として高くないと予想していたため、現段階で成功を収めていない点について、進捗が遅れているとは考えていない。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、DREADDアゴニストCNOの類似化合物を元にしたPETプローブを用いた同様のスクリーニングを実施し、霊長類でのイメージングを予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度テストに用いたPETトレーサーの前駆体(desmethyl-perlapine)について、共同研究先から合成したものを入手することができたため、当初予定していた合成受託依頼に支出する必要なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は、より多くのCNO周辺化合物について、最適トレーサーとしてスクリーニングするため、前駆体を含む試料の準備や実験動物関連に使用する計画である。
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