研究課題/領域番号 |
15K12787
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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研究分担者 |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (30292725)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ラオス / 農業開発 / 水田漁労 / 家畜飼育 / 経済 / 栄養 / 健康状態 |
研究実績の概要 |
アジア最貧国の1つラオスにおいてこれまで不足してきたコメ生産が、近年灌漑等により増加してきたことが、人々の生業(北部の家畜と南部の漁労)と栄養状態に及ぼす影響について、1)北部のビエンチャン首都区サントーン郡(首都ビエンチャンから約40㎞)と、2)南部アタプー県の2つの郡(首都ビエンチャンから約1000㎞)の小中学生-彼らは最も栄養状態の変化に敏感と思われる―を対象として検討した。なお、2)については約10年前の計測データをもとに、経年変化もある程度検討した。 まず、ラオス国立衛生研究所(NIOPH)と調査地の2つの県の衛生課と調査協力の覚書(MOU)を交わし、調査協力体制を作ったあとで、1)では2016年9月に300人の小中学生の身体計測(身長・体重・体脂肪)とヘモグロビン濃度を測定し、2)では2015年の9月に353人の小中学生について上と同様の身体計測を行うことができた。 その結果(まだ詳細は検討中であるが)、1)北部はビエンチャンに近いにもかかわらず、舗装道路等のインフラができたのはここ10年強であるため、小中学生の年齢当たりの身体計測値とヘモグロビン地は首都の小中学生に比べていずれも低く、栄養状態の改善が遅れていることが示唆された。2)南部の小中学生の年齢当たりの身体計測値は北部の小中学生よりさらに低く、特に定住してコメ生産するのに適応していない少数民族の小中学生では、栄養失調が多く見られた。 これらのことから、ラオス(約50の少数民族を含む)国民全体の栄養状態の改善を考える時には、インフラ整備とそれに伴う生業変化に対する適応性や民族性も考慮に入れる必要があると考えられた。
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