ラオスではこれまで不足してきたコメ生産が、近年灌漑や農業技術の改善により増加してきた。我々は、このことが人々の生業(北部の家畜飼育と南部の水田漁労)と特に小中学生の栄養・健康状態に及ぼす影響について検討した。その結果、1)北部は首都に近いが、舗装道路等のインフラが整備されたのはここ10年くらいなため、小中学生の年齢当たりの身体計測値やヘモグロビン値は首都の小中学生に比較していずれも低く、栄養状態の改善が進んでいないことが示唆された。2)南部の小中学生の年齢当たりの身体計測値は北部の小中学生よりさらに低く、特に定住してコメ生産に適応していない少数民族の小中学生では、栄養失調が多く見られた。
|