平成27年度・28年度に予算を使い切り実質的な調査研究を終えたため、本年度は別資金で追加調査を行い次の段階の研究プロジェクト構築の準備を行った。本プロジェクトの主な成果は28年度の太平洋歴史学会での発表によって国際的にアピールすることができたが、現地住民との和解は現在の政治状況から研究期間内に実現することはかなわなかった。後継プロジェクトの課題としたい。なお、本研究の成果となるこの歴史学会の発表は31年度に出版の予定である。 本年度、岩本(研究協力者)は、同志社大学文化遺産情報科学研究センターの資金で、平成29年9月後半から10月初頭かけて、James Tanis、Therese Kemelfield(海外研究協力者)、大久保孝晃(研究協力者)等とともにブーゲンビル現地戦跡調査および現地住民を対象にしたブーゲンビル戦の記憶をめぐる意識調査を行った。大久保はその成果を卒業論文「ブーゲンビル島における近過去歴史認識に関するフィールドワーク調査」(同志社大学文化情報学部)にまとめ高い評価を得た。岩本と大久保は、平成30年12月にケンブリッジ大学で開催予定の太平洋歴史学会にて、本プロジェクトの最終研究成果を発表する。 大西は、自費で平成29年10月10日の熊本のブーゲンビル墓前祭に参加、熊本遺族会の船崎(研究協力者)より追加資料を収集した。また10月後半に沖縄に訪れ、宮城(研究協力者)と情報交換を行った。(沖縄ブーゲンビル遺族会の慰霊祭は台風のため中止。)その後、平成30年3月に再び沖縄の大宜味村を訪れ、本研究の発端となったブーゲンビル戦体験者・玉城深福さんの追加インタビュー調査を行った。その成果は31年度以降に出版予定である。 寺田(研究分担者)は、平成30年4月に、本研究の成果を取り入れた著書『カタストロフと時間-記憶/語りと歴史の生成』(京都大学学術出版会)を出版した。
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