研究課題/領域番号 |
15K12797
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
呉羽 正昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50263918)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スキーリゾート / オーストリア / チロル州 / 景観 / イメージ / 発展プロセス / スキー場 |
研究実績の概要 |
本研究は、景観およびイメージ創造に注目してリゾートの発展プロセスのモデル化を試みるものである。研究対象は、発展の著しいオーストリアアルプスのスキーリゾートとした。具体的には、フィールドワークで解明されたスキーリゾート景観の諸要素が時代の変遷とともにどのように変化してきたのか、同時にリゾートのイメージ創造がどのようになされてきたのかについて整理する。これらに基づいて、リゾートの発展プロセスのモデルを構築し、そのモデルが適合する地域的な条件を明らかにする。 H28年度の研究実績は次の通りである。1.アルプスにおけるスキーリゾートに関係する文献、リゾートの発展プロセスに関する文献を収集し、その動向を若干整理した。インスブルック大学図書館において、チロル州の諸スキーリゾートに関する文献を収集した。2.オーストリア統計局やチロル州統計局による統計資料に基づいて、スキーリゾートにおける宿泊者数と宿泊施設の動向を分析し、単行本で公開した。3.夏季および冬季の2回にわたって、現地調査を実施した。とくにオーストリア、チロル州のゼルデン(エッツタール)とイシュグルにおいて景観調査を実施した。あわせて、チロル州政府が提供する過去の空中写真をもとに、第二次世界大戦後の建物分布変化に関する分析を通じて、景観変化のパターン把握を進めた。ゼルデンについては結果を単行本の一部として原稿にまとめた(H29年4月刊行)。イシュグルに関する結果の一部は、日本スキー学会第27回大会において発表した。4.比較検討材料として日本のスキーリゾート(長野県飯山市戸狩、同県野沢温泉村)について調査・分析を実施し、リゾートとしての変化プロセスをインバウンド・ツーリズムの発展および就業構造の変化に着目してまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーストリアにおいて2回の現地調査を行うことができ、また現地調査地域に関するエキスパートからの助言が得られた。これらの調査・分析をうけて、重点的な研究対象スキーリゾートとしてゼルデンとイシュグルを選定し、景観調査を実施した。また過去の宿泊施設分布データを入手できたことによって、リゾート発展のプロセスをかなり解明することができた。ゼルデンに関しては分析が終わり、結果を単行本の一部として原稿にまとめた。イシュグルについては一部の分析を残すのみとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象スキーリゾートとするイシュグルについて、より詳細な現地調査を進めていく。観光局や索道会社、複数の宿泊施設において、これまでの開発に伴う景観変化と宣伝戦略に関する聞き取り調査を行う。これらの聞き取り調査、さらには文献資料に基づいて、さらにはゼルデンに関する結果とあわせて、またその他のリゾートの動向も踏まえて、リゾートのイメージ創造とその変化について検討し、モデル化を図る。
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