研究課題/領域番号 |
15K12801
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
丹治 和典 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (80188458)
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研究分担者 |
川名 典人 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (50295929)
千葉 里美 札幌国際大学, 観光学部, 講師 (80635243)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最新ICT / 外国人観光客 / 観光情報発信 / AR / iBeacon |
研究実績の概要 |
本研究は、外国人観光客をターゲットとした観光情報発信手法に関わる研究であり、次の2点が主要なテーマである。①WiFi環境が未整備の観光地におけるAR(拡張現実)アプリを利用した情報発信手法 ②iBeaconアプリを利用したプッシュ型緊急情報発信手法の研究すなわち、国立公園や世界自然遺産などの通信インフラが不十分な地域においてWiFiに依存しないAR(拡張現実)というアプリを利用した手法の開発と、利用者が自ら情報を取得するというアクションを取らなくても緊急時などの重要度の高い情報を受信できるような仕組みを提案しようとしている。これらにより、外国人観光客に、質の高い観光サービスを提供する手法を確立することにある。研究対象地域としては、北海道知床・斜里および千歳空港エリアを選定する。 本研究は、ビジネスでしかあまり注目されていないAR(拡張現実)やiBeaconアプリという最新のICTを、観光情報の発信という分野でどのように利用できるかを研究しようとすることろに特色がある。その内容は非常に実用性が高いため、本研究が成功すると、①WiFi環境が未整備な観光地でも、十分な観光情報を提供することが可能となる。②プッシュ型情報提供手法を確立することで、通常の観光地情報の他に、空港等の入国ゲートで必要とされる感染情報や、自然災害情報を含む危機管理情報を迅速に知らせることが可能となる。③これらの情報は、クラウドで管理されるため、迅速に情報更新が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である2015年度の研究計画は、①研究対象となる観光地の選定と調整、②ARアプリ・iBeaconアプリによる情報発信手法の構築であった。①については、2015年9月と2016年3月に知床・斜里に現地調査を行い、ARアプリを利用した研究対象地域として世界自然遺産に指定されている知床五湖を選定した。②については、現地調査の際に収集した画像を使いARアプリを活かしたハガキを作成し、知床・斜里地域内の各種施設に配置した。また、iBeaconアプリを利用した研究対象地域として新千歳空港を検討していたが、実際に設置までには至らなかった。しかしながら、iBeaconに関してはプロトタイプを作成し、一定の距離に近づいたとき情報を提供できる仕組みは構築した。iBeaconに入れた情報はテキストと写真である。設置した場所で実際にiBeaconアプリを入れたスマートフォンを数回近づけたが、iBeaconの発信する電波に反応する時間や感度にばらつきがあった。また、観光客に対して事前にiBeaconアプリをどのようにインストールしてもらえるかという問題もある。 今後はこの点も含めたiBeaconの課題を、研究フィールドにiBeaconを設置して調査する。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度を終えて、今後に向けての課題を以下の2つに整理した。①ビジネス分野での利用事例を調査し、観光サービス分野への応用の可能性を探る。②ARアプリ・iBeaconアプリによる情報発信手法とそのマネジメントサイトを構築する。 さらに、外国人観光客に向けての観光情報発信という視点から、英語の観光情報を作成することも次年度の研究計画の中心としている。また、作成した観光情報をARとiBeaconの両アプリに入力し、動作確認を行って研究対象地区で検証することにしているが、具体的に以下の問題点が想定されており、その解決方法の検討を事前にしなければならない。 ①アプリのダウンロードに関する不具合 ②正確な表示の確認(テキスト表示のほか、画像や動画の動作確認を含む)③ビーコン端末によるプッシュ型発信の有効性(3種類の情報発信・受信の正確さを確認)④AR・iBeaconアプリ用マネジメントサイトの不具合等である。特にARに関しては多様な観光スポットで活用するときのコストである。プロトタイプで作成したARはがきはレンタルサーバーの容量に制限があり、限定的な発信となっている。この点を改善したAR環境を構築したい。また、iBeaconに関しては、発信する電波に反応する時間や感度のばらつきを調整すること、そして観光客にiBeaconアプリを事前にインストールして仕組みを構築したい。
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