研究課題/領域番号 |
15K12803
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
武田 淳 麗澤大学, 外国語学部, 助教 (70736511)
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研究分担者 |
山川 和彦 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (30364904)
正宗 鈴香 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (80337724)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 観光 / 日本語教育 / 多文化共生 / 移民 |
研究実績の概要 |
2018年度は、(1)フィールドワーク、(2)研究発表を行った。 (1)フィールドワーク 外資系観光関連企業や外国籍住民の流入によるローカル性の変容、複数言語環境という特徴を持つニセコ圏において、親たちは子どもの言語習得やアイデンティティをどう確立し、継承させていこうとしているのかについて調査するため、International Schoolに子どもを通わせるハーフ(multiracial)の子どもを持つ国際結婚した5名の親(母親が日本人)への聞き取り調査を行った。また国際観光が地域に与えている影響についての現地調査も倶知安町で実施した。 (2)研究発表 これまでの調査をもとに、台湾やタイで行われた国際シンポジウムで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニセコ圏への観光入込客数がほぼ横ばいに推移する中で、外国人の宿泊傾向は、従来のオーストラリア人の減少とアジア圏からの増加がみられる。北海道新幹線の開業の前倒しなどの要因もあり地域変容が加速しつつある。具体的には次のことが確認できた。倶知安町の外国籍住民数は増加傾向にあり、スキー場エリアだけではなく、地域住民が生活する市街地への進出が一層高まりつつある。次に、高級コンドミニアムの建設はなお続いており、「国際的な雰囲気のスキー場」から「ブランド化したニセコ」、「グローバルリゾートエリア」といえる状況になりつつある。そして外資系施設・企業の増加により、スキー場エリアではコミュニケーションが英語で行われるのが常態化しつつあることが確認できた。このような外国人は地域的なアイデンティティを持つことなく、グローバルに移動する可能性があることも予見できた。さらに地域住民からすれば、変容する地域社会に対し、多文化化を児童教育の視点で歓迎する住民もいれば、「原風景」が次々と壊されて、あきらめを感じる人もいることが確認できた。日本語教育については、前年度実施したニセコ町教育委員会への聞き取りから、同教育委員会は、英語を話す移住者がもたらす文化的環境を積極的に活用し、地域の子どもたちの英語力、異文化理解につなげるといった方針を打ち出していることが分かっている。その一環として札幌にあるInternational Schoolの分校としてHokkaido International School Nisekoを誘致したことはニセコ町にとって大きな決断であったということから、2017年度は、同校に通わせるハーフ(multiracial)の子どもを持つ親の意識を探った。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は以下の通り、調査を進めていく。 (1)日本語教育 ニセコ地域にある公立小学校にもハーフの児童が一定数通っていることが確認できているため、公立小学校関係者に調査を行い、地域がもつ教育の傾向について継続して調査を行う。 (2)国際観光 グローバルリゾート化して行く中で、ローカル性がどのように変化していくのか、年度内に再度聞き取り調査を行う。倶知安町でのG20閣僚会議開催が決まり、従来にもましてグローバル推進の意見とローカル支持の見解の差が際立ってくることが予想される。 (3)多文化共生 本年度は引き続き聞き取り調査を行い、外国人と日本人が共生するコミュニティが抱えている問題などについて調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画していた現地調査ができなかったこともあり、予定していた額よりも経費が下回った。 (使用計画)共同研究者とスケジュールを調整し、合同で現地調査を行う予定である。
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