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2015 年度 実施状況報告書

包括的連携価値化による都市の文化的景観づくりと観光まちづくりへの応用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K12804
研究機関岐阜女子大学

研究代表者

黒見 敏丈  岐阜女子大学, 家政学部, 教授 (60308658)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード包括的連携価値化 / 文化的景観
研究実績の概要

文献研究により、文化的景観制度を活用して伝統的景観を保存・継承いく上では、対象とする文化的遺産を動産・無形遺産にまで拡大して掘り起こし、当該地域市民の意向を踏まえて価値付けし、地域の歴史・文化のストーリーに位置づけていくことが重要であることが確認された。まさに、本研究における中核的概念である「包括的連携価値化」に直結する文化的景観制度の意義であると言え、文化的景観制度を活用した文化遺産の包括的連携価値化によって社会全体で文化的景観の保存・継承を支えていく仕組みを構築していくことの重要性が明らかになった。
また、都市域において文化的景観制度を活用する上での課題としては、物理的、社会的変容のスピードと幅が大きいだけに、文化的景観を構成する文化遺産の価値の所在が不明瞭になりがちであり、許容しうる景観的(物理的)変容と文化的景観の継承システムの(社会的)変容がどこまでなのかを明確化することが難しいことであることが分かった。つまり、都市域においては文化的景観のオーセンティシティ(真正性)を判断、評価することが難しいということである。この都市域がもつ文化的景観制度活用上の課題を克服するためには、文化遺産群の包括的連携価値化を図り、文化遺産そのものや文化遺産群をつないでいる(連携している)関係性の中で、それが変容することで文化遺産群全体の価値を大きく減退させるものを抽出することが重要であることが分かった。
研究対象事例3都市の文化的景観制度活用の現状と課題については、歴史的地区環境整備街路事業推進協議会第20回講習会における講演(2015.10.29)で整理、分析したところであるが、金沢市ではこれまでの景観整備のための制度構築の実績が充実しており、文化的景観制度は補足的な位置づけであることから、平成28年度以降の研究対象事例としては他の2都市を中心に行うこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本務校における新規プロジェクトの立ち上げ等のため、長期休暇中等において十分な調査研究の時間を設けることが困難であったため。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画では平成27年度に実施予定であった岐阜市における文化遺産の包括的連携価値化の枠組みとその方法論について平成28年度前半に検討する。
研究実績の概要でも記載した通り、平成28年度以降は主として宇治市と岐阜市に研究対象を絞り、文化遺産の変化のシステムを解明し、文化的景観の持続的景観管理システムの構築を図る予定である。特に、岐阜市においては文化的景観と日本遺産、景観法の関係に着目しつつ景観管理システムの構築のための検討を進める予定である。
また、平成28年度から29年度にかけて、観光客アンケート調査を実施する予定であるが、近年外国人観光客(特にアジア圏からの)が急増している現状があり、これら外国人観光客を調査対象とすべきかどうかについて、研究対象事例の都市自治体と協議しながら判断していきたい。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度においては、本務校における新規プロジェクト立ち上げ等の関係で十分な調査研究の時間を確保することができず、当初の研究計画で予定していた研究対象事例都市等での現地調査、ヒアリング調査が十分に実施できていない。このため旅費等の側面で次年度使用額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

平成28年度前半に、研究対象事例都市等での現地調査、ヒアリング調査を実施予定であり、その際の旅費等に使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 都市の文化的景観づくりと道路整備2016

    • 著者名/発表者名
      黒見敏丈
    • 雑誌名

      れきみち

      巻: 第21号 ページ: pp30-49

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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