本研究の対象事例として、都市の重要文化的景観に選定されている宇治市、岐阜市、金沢市の3都市を選定していたが、金沢市においては景観整備のためのこれまでの制度構築の実績が充実していることから研究対象から除外した。一方で2018年に新たに東京都葛飾区の葛飾柴又の文化的景観が重要文化的景観に選定されたため、研究対象に加えられないかと現地踏査及び葛飾区担当者へのヒアリング調査を実施したが、地区内の都市としてのダイナミズムと歴史的重層性が乏しく、研究対象事例としてとりいれることは不適と判断した。 以上のことから、宇治市と岐阜市の重要文化的景観を研究対象事例として、①文化的景観制度を活用した文化遺産の包括的連携価値化によって社会全体で文化的景観の保存・継承を支えていく仕組みを構築していくことの重要性、②両事例の文化遺産の変化のシステム解明を通じた文化遺産の変化のシステムを解明する手法、③文化的景観の持続的景観管理システムの一般化モデルを明らかにしたところであり、これらを観光まちづくりに応用していく手法について考察を加えて本研究の研究成果とするものである。 本来なら2018年度中にこれらの研究成果を発表すべきところであるが、2018年度における本研究へのエフォート確保が困難な状況もあり、年度内の研究成果発表はかなわなかった。2019年度中に学会等への最終的な研究成果発表を行うため、現在鋭意研究成果の取りまとめを行っているところである。
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