本年度の研究は、①九州における訪日外国人観光客の周遊ルートを解明するための基礎資料(アーカイブ)の作成、②本研究の先行的類似事例に関する資料・現地調査、ならびに③研究総括としてのデータ取りまとめと今後の課題抽出を行った。 ①九州における訪日外国人観光客の周遊ルートを解明するための基礎資料(アーカイブ)の作成としては、過年度において、訪日外国人観光客がSNS投稿時に付与するジオタグ(位置情報)データを取得するアルゴリズムを開発したことを踏まえ、このアルゴリズムを継続して稼働し、いわゆる「観光ビッグデータ」の収集と蓄積を行った。本アルゴリズムを稼働した昨年度(2016年度)は、九州地方において甚大な被害をもたらした熊本地震の影響があり、「平時」のデータ取得は行えなかったものの、震災前、震災直後、そして徐々に復興が進む期間のデータ取得を行うことができた。本年度も「平時」のデータではないものの、地震災害からの復興過程における貴重なデータを取得することに主眼を置き、これらのデータをアーカイブとして整理した。 ②先行的類似事例に関する資料・現地調査としては、地域間連携による戦略的な観光地域づくりが進められているニュージーランドを対象として、あらかじめ文献による資料調査を実施し、併せて、現地調査を行った。2016年4月の熊本地震は当初の研究計画では想定できなかったものの、多地域間の連携による戦略的な観光地域づくりを進めるとともに、2011年2月に発生したカンタベリー地震からの復興を進めるニュージーランドの資料・現地調査を通じて、今後の九州における観光地域づくりの課題抽出を行った(③)。
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