研究課題/領域番号 |
15K12813
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 美術史 / 仏教美術 / データベース / 図像学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アジアのさまざまな地域や時代を網羅する新しいタイプの仏教美術研究の構築である。美術作品の詳細な分析を中心とした美術史的研究と、豊富な文献資料を扱う仏教学のそれぞれの長所を生かし、相互の研究成果をデータベースの形に整理し、有効に利用することで、画期的な研究環境を生み出す。それによって、これまでの仏教美術研究の限界を取り除き、アジア全域を対象としたグルーバルな研究を可能とする。さらに、わが国の人文学が学際化、国際化を進める上でのモデルケースとなることを目指すとともに、アジアの仏教美術研究という領域で、わが国の研究を世界的なレベルへと引き上げることを目的とする。 2年目にあたる今年度は、前年に引き続き、研究代表者がこれまで収集してきた南アジアの仏教美術およびヒンドゥー教美術のデータベース化を進めた。また、インドと中国において過去に収集した画像データの未発表分について、名称、法量、素材、所蔵者、図像学的なディスクリプション、関連文献などのメタデータを整理した。このうち、整理を終えた画像データについては、メタデータを含め、インターネット上で順次、公開を進めている(「アジア図像集成」Asian Iconographic Sources http://air-p.jp)。今年度はとくに、データの追加、削除、訂正が容易に行えるようなシステムを開発し、恒常的に改善が進められるような環境を整備した。これによって、複数の研究者が連携してデータベースを拡充することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で示したふたつの柱、すなわち、画像データのデータベース化とその公開、テキストデータの統一的フォーマットへの統合作業は、いずれも順調に進んでいる。その成果として、アジア全域を視野に入れた密教美術に関する総合的な研究書を発表した。また、インド密教の女神に関する一般向けの書籍を刊行するなど、研究成果の社会への還元を積極的に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
画像データ、テキストデータのいずれに関しても拡充を進め、データベースの規模を拡大させる。それとともに、データの種類に伴うデータベース化の問題点を整理し、将来的に、より広範囲のデータベースへの展開を図る道筋を明らかにする。そのため、以前から進めている仏教美術史やインド学仏教学などの研究者によるモニタリングをさらに充実させる。これらの成果を日本印度学仏教学会、日本宗教学会、密教図像学会などの関連学会において、随時、報告する。
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