研究課題
前年度より引き続き、8月下旬と3月上旬に二日間づつ、集中的に研究集会を行った。研究会には、院生を含め若手研究者の参加を呼びかけ、18世紀以降の精神史を論じたテクスト群の読解を中心として、18世紀における人間の思考能力、とりわけファンタジーを含む抽象的思考能力の飛躍的な展開について、さまざまな文学作品や文学理論を手がかりとして、進化心理学の理論を参照しつつ、議論を重ねた。これは、「精神性の進歩」を測る指標として、抽象思考能力とファンタジー構成能力に着目し、これらが統合した機序として「推論装置」を捉え、その精神史的展開を辿る試みであった。これらを踏まえ、分担者が主催する感情研究を中心に据えた別の研究会(8月30ー9月1日、3月27-29日開催)に、メンバーと、上記の若手研究者らが参加し、心理学的構成主義の問題提起や、感情はイリュージョンなのかなどの神経中心主義的な立場からの問題提起について報告を行い、脳機能研究を中心とした実験心理学、臨床心理学などの研究者らと議論を展開した。とりわけ、認知と感情、身体症状という点に着目して、物語作成行為が生理状態に及ぼす影響と、その自覚がフィードバックされつつ精神状態に及ぼす影響について検討し、成果として発表した。さらに代表者は、これまでの成果として、分担者の企画・主催する公開セミナーで報告を行い、歴史学などの他分野の研究者らと議論した。これらの議論を踏まえ、代表者、分担者、上記の若手研究者らを含む執筆群による特集号を組むこととなり、その準備を進めた。また、この特集号とは別に、代表者と分担者、さらに若手研究者らを含むメンバーで、論集を企画・構想し、着実にその準備を進めることができた。これらの成果を踏まえ、現在は、シンポジウムを企画している。
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名古屋大学人文学研究論集
巻: 1 ページ: 73-97
Evolution and Human Behavio
巻: 39 ページ: 249-256
エモーション・スタディーズ
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BRAIN and NERVE-神経研究の進歩
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