研究課題
研究期間全体を通じて、チュニジアでの現地調査やチュニジア文化省管轄下の研究教育機関(国立コンセルヴァトワール、国立高等音楽院、ラシディーヤ伝統音楽研究所、地中海アラブ音楽センター等)との情報交換を行い、チュニジア音楽の現状を記録した。ラシディーヤ伝統音楽研究所についてはその80年にわたる歴史を振り返り、ジャスミン革命後の変化を含めたチュニジア音楽現代史を纏めて「チュニジア<ラシディーヤ>伝統音楽研究所~歴史と現在~」を執筆し、共著『中東世界の音楽文化』(スタイルノート、平成28年)に収めた。現代チュニジアでアンダルス音楽に源流を持つ伝統音楽マルーフと東地中海オリエントの音楽シャルキーが同等に重要な音楽遺産として扱われ、継承発展されていることを証明した。主要音楽家の作曲作品、音楽教育カリキュラム、各種国際音楽祭の演目においてそれを確認することができた。平成28年度は、特にチュニジア及びオリエント諸国で用いられる旋法(トゥブー、マカーム)について、アラブ古典楽曲や即興演奏の音源及び書籍資料の分析を行い、主要なマカームとその運用、派生形の特徴を分類整理した。その研究成果展として多摩美術大学において公開講座「マカームとラーガ」を実施し、世界の主要な旋法体系であるアラブ音楽とインド音楽の比較検討を行なった。実演とディスカッションによりそれぞれの共通点や相違点が明らかとなり、多大な意義があった。この他にもひらめきときめきサイエンス「アラブ音楽の世界─みんなでリズムを体験してみよう!」(整理No.HT28101)を初め、いくつもの公演や講演を通じて、アラブ古典音楽、チュニジア古典音楽の特質や重要性、美学的芸術的価値を社会に還元できたことは大きな成果であった。今後の研究についても即興演奏におけるマカームの運用や構造、美学等を中心に進めていく指針が立った。
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地中海学会月報
巻: 395 ページ: 8
http://www.collegium-mediterr.org/report/2016%e5%b9%b412%e6%9c%88%ef%bc%8c395%e5%8f%b7/
http://www/arab-music.com
https://www.youtube.com/watch?v=ZBmuUM_QDgY
http://www.jsps.go.jp/hirameki/ht28000/ht28101.pdf
http://www.k.tamabi.ac.jp/activity/sre/641363/