本研究では、国際美術展図録の作品解説に記述される作品のテーマ、意味、内容、作者の意図、制作動機等を「主題語」として捉え、出典と共に蓄積した。これにより、現代美術における主題の広がりや、新たな主題の探究等を跡づけることが可能になる点に、学術的意義がある。また、現代美術は感じるままに楽しめば良いという説明は、モダン・アートと呼ばれる20世紀中頃の抽象絵画や抽象彫刻には当てはまるが、1980年代以降の様々な芸術実践には当てはまらない。本研究が構築した主題分類システムは、そうした新しい時代の現代美術を主題ごとに関連づけ、どのような内容がいかに表現されているかを理解する手助けとなる点に社会的意義がある。
|