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2017 年度 実績報告書

日中戦争の記憶と表象に関する総合的研究――1940-1960年代を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 15K12852
研究機関大妻女子大学

研究代表者

五味渕 典嗣  大妻女子大学, 文学部, 准教授 (10433707)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード日中戦争 / 戦争記憶 / プロパガンダ / 検閲 / 占領期 / 東アジア / メロドラマ
研究実績の概要

2018年度は、研究の完成期と位置づけ、主に以下の3点について、研究のとりまとめと、本研究課題で得られた成果の公表を行った。この他、本研究の視野を広げ、問題意識を深化させることを目的に、韓国・高麗大学で開催されたAAS in Asia 2017 に参加、「戦争の表象」「戦争の記憶と植民地主義」をテーマとする研究者との国際的な交流を深めた。
(1) 日中戦争の同時代に中国での戦争・戦場がどのように表象されたかをテーマに、単行書『プロパガンダの文学 日中戦争下の表現者たち』(共和国、2018年5月末刊行予定)を上梓した。同書においては、日中開戦後の軍・政府による言説やイメージにかかる統制の法的・制度的な動向を踏まえ、戦争や戦場を描くテクストにどのような役割が期待されたかを論じた。合わせて、厳しい検閲体制下にあっても、それらのテクストには軍や政府の意図や思惑を超え出る契機が存在することを指摘した。
(2) 前年度からの継続的な研究として、日本敗戦後のメディアにおける日中戦争表象について、検討を進めた。とくに、1938年の初出発表時に、南京事件を想起させる内容を描いたとして発売禁止処分を受けた石川達三『生きてゐる兵隊』の戦後における受容に注目、GHQ国際検察局資料内の石川達三の尋問記録等も参照しながら、中国戦線での加害の記憶が、敗戦後のメディアでどう語られたかについて、具体的な検討を行った。
(3) 戦後における日中戦争表象の一類型として〈メロドラマ〉的な物語に注目、関連するテクストや資料の集積と分析を行った。また、日中戦争期・アジア太平洋戦争期の日本における「大陸文学」「大陸映画」をこの種のテクストの源流として位置づけたうえで、異性愛を基本とするメロドラマの構図と、戦時・戦後日本の人種主義的な体制との相関とズレに注目し、考究を深化させた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 石川達三と東京裁判――『生きてゐる兵隊』戦後版の受容をめぐって――2018

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 雑誌名

      大妻国文

      巻: 49 ページ: 91-113

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 言語とイメージのあいだ――日中戦争期における文学とプロパガンダ2017

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 雑誌名

      大妻女子大学草稿・テキスト研究所 研究所年報

      巻: 10 ページ: 42-58

  • [学会発表] 金哲著・渡辺直紀訳『植民地の腹話術師たち――朝鮮の近代小説を読む』書評会のために2017

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      科学研究費補助研究「植民地朝鮮のプロレタリア文学・文化運動と日本との関係研究」
  • [学会発表] メロドラマの(不)可能性――久米正雄『白蘭の歌』を手がかりに2017

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      第97回大妻国文学会例会
  • [学会発表] 石川達三と東京裁判――『生きてゐる兵隊』戦後版の受容をめぐって――2017

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 学会等名
      グローバルな記憶空間としての東アジア 第1回国際セミナー
    • 国際学会
  • [図書] プロパガンダの文学 日中戦争下の表現者たち2018

    • 著者名/発表者名
      五味渕典嗣
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      共和国
    • ISBN
      9784907986452

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公開日: 2018-12-17  

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