本研究では、日中戦争・アジア太平洋戦争の同時代に中国での戦争を描いた日本語のテクストを取り上げ、当時の書き手たちが現代進行形の戦争をどう表現したか、幅広く検討した。また、戦後の文学や映画において、中国の戦場における日本軍の加害の記憶がどう表現されたかについて、精しい調査と分析を行った。上記の研究の成果は、単著『プロパガンダの文学 日中戦争下の表現者たち』(共和国、2018年5月刊行)などの成果として公表した。今回の研究を通じて、20世紀の戦争をテーマとする国際的・学際的な共同研究への手応えを掴むとともに、文学研究の側から戦争とメディアの関係を問うことの意義を確認することができた。
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