• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

観相資料の学際的研究―マンガも視野に入れた古籍観相資料の分析と応用―

研究課題

研究課題/領域番号 15K12853
研究機関国文学研究資料館

研究代表者

相田 満  国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00249921)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード観相 / 人相占い / 肖像画 / マンガ / ディープラーニング / 韓国 / 古典文学 / キャラクター
研究実績の概要

今年度は本研究を主題として、共同研究会・国際シンポジウムのパネルセッション、国際学会での研究発表、及び異分野融合・新分野創成のための大学共同利用機関4機構法人による合同コロキウムにおける研究成果発表や講演を行った。具体的には、以下の通り。
(1)平成28年7月26日に国際共同研究会「観相資料の学際的研究」を主催した(於:国文学研究資料館、参加者18名)。魯成煥(蔚山(うるさん)大学校)氏「韓国人にとって観相とは何か」の発表のほか、オレグ・プリアーニ氏「イタリア人から見た観相文化」ほか、日中の研究者8名による研究発表と討議を行い、会終了後には立川占い街にて観相の実地調査を行った。
(2)同年8月31日に、和漢比較文学会海外特別例会(於:台湾大学)にて、観相に関するセッションを組み、口頭発表を行った。
(3)同年11月3日には第8回「東西文化の融合」国際シンポジウム(大東文化大学主催)では「傀儡子と観相(人相占い)の東西」をメインテーマに、「観相と図像・絵画研究」を主題とするセッションパネルを組み、研究協力者2名と併せた3本の発表と、同じく協力者1名を加えた4名によるディスカッションを行った。
(4)また、平成29年3月2日には、異分野融合と学際研究を構築・模索するための研究集会「I-URICフロンティア コロキウム 2016 」において、ディープラーニングの素材として本研究で進めたの成果を紹介した。マンガとの関わりについての研究では、マンガ黎明期から現代に至る主要なマンガキャラクターの整備を行った。ただし、現段階では著作権上の問題で公開がはばかられるものが多いため、データベースのメニューには上せず、研究論文による考察を進める方針で考察を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は共同研究・共同発表を中心に行った。特に、国際的視点や、人工知能と観相資料の応用研究の可能性など、異分野の研究者との研究交流を持つ事ができたことは、新たな視点を拓くことが出来た点で有意義であった。文学研究の面では、文化年間に刊行された『神相全編正義』が曲亭馬琴『南総里見八犬伝』(第8輯巻7第88回)における犬坂毛野の湯島神社での観相場面に引かれており、しかも、『神相全編正義』版本を使用すると、その引用の具体的様相がまざまざと分かるということが分かった点は成果と言えよう。『八犬伝』はこれまでさまざまな典拠が指摘されてきたが、内部徴証による推測にとどまっていたと言わざるを得なかったこともあり、大きな成果と言えよう。このように業績は順調に積み重なってきているといえるよう。そのため、先年度まで論集を作成することにより内容を広く問うという方針であったが、研究協力者に対して一々の研究テーマの全体像を示すための説明や、後進へのガイダンスも兼ねるために、あえて単著を著して、自身の考えを協力者に問い、改めて論集の企画を立てる方向に軌道修正を行う可能性も生じてきた。

今後の研究の推進方策

マンガについての考察上の最大の難関は研究成果の発表媒体である。マンガの系譜の整理を行ないはしたが、そうした中で特徴的なものを採り上げるために、著作権上の問題が発生しづらい作品を選んで論考を試み、その成果の発表を試みたい。その理由は、日本においては、人相占いが雑誌類に掲載されて社会的に一般的であった時代は、前近代との接点が濃密であった時代といえたからである。その意味で、現代ではあまり一般的でなくなってしまった人相占いがいつ頃から退潮を示すようになったのか、社会学的な調査も併行して進めなくてはならないだろう。今後は、そのための基礎調査の上に立って、マンガ論を試みる。
また、観相データベース(トピックマップ)に搭載される相書データの充実をはかる。今年度は、新たに人相千百年眼と過去データの再構築・再整理を試みる予定である。
また、前項でも述べたようにこれまでの研究論文等を整理して、まとめる作業にとりかかり、それらの視点から論集をまとめることに臨みたい。

次年度使用額が生じた理由

初年度に搭載する予定だったデータベースデータのデータ量は多かったものの、件数的には多いものではなかったため、データベースの更新作業を今年度に行った。そのことが全体の執行率に影響して、繰越額の増加につなかったと考えられる。また、韓国における観相の実地調査を予定していたが、韓国の蔚山大学の先生に予備調査をお願いしたところ、マスコミュニケーションで取りざたされるほど韓国独自の観相はないことが判明した。代わりに。当該の先生に来日していただき、共同研究会での発表してもらった。

次年度使用額の使用計画

今年度は海外での研究成果発表を行うとともに。観相の実地調査に、日本の著名な観相家、水野南北の故地を訪ねるなど、実地調査も進める。また、今後発展的な研究を進めるための基盤を構築するために、必要となる参考典籍の入手と参考情報の公開を進める。そのためのインターフェイスの向上のためのシステム開発も予定している。

備考

トピックマップを利用した観相資料のデータベース。
平成28年度は観相場面がうかがえる作品の充実と、観相場面の体系化を施した。また、古典的観相場面の一部に、吉凶判断を示した。また、画像を二値化画像中心に掲載している理由は、画像処理データとして利用するための便宜を図ったためである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 『日本における『神相全編』享受考―『八犬伝』を中心に―2016

    • 著者名/発表者名
      相田満
    • 雑誌名

      和漢比較文学検討会論文集(台湾大学日本語文学系・和漢比較文学会)

      巻: 2016 ページ: pp45-51

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 観相資料から見る・考える(「ヒト・人・人間学」分科会2 知性と人工知能)2017

    • 著者名/発表者名
      相田満
    • 学会等名
      I-URICフロンティア コロキウム 2016
    • 発表場所
      ホテルアソシア静岡(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2017-03-02
    • 招待講演
  • [学会発表] 肖像と画像言説の相関性について―浮世絵の大家・西川如信の画論・画業と現代的意義3題―2016

    • 著者名/発表者名
      相田満
    • 学会等名
      総合研究大学院大学文化科学研究科学術フォーラム
    • 発表場所
      国際日本文化研究センター(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-12-11
  • [学会発表] 観相の視点からみた図像・絵画研究―肖像と画像言説の相関性について―(初期浮世絵の大家・西川如信の現代的意義3題)2016

    • 著者名/発表者名
      相田満
    • 学会等名
      「東西文化の融合」国際シンポジウム
    • 発表場所
      大東文化大学(東京都板橋区)
    • 年月日
      2016-11-03
    • 国際学会
  • [備考] 観相トピックマップ6

    • URL

      http://tmap1.topicmaps-space.jp/physiognomy/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi