研究課題/領域番号 |
15K12858
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石川 隆士 琉球大学, 法文学部, 教授 (60315455)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | English Literature / Aeolian Harp / Gyre / Labyrinth / Yeats / Ireland / Celts / Romanticism |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1.「イオリアの竪琴」に代表される自然の弾き手によって奏でられる竪琴という調和の修辞が、W.B.イェイツの詩に特徴的な「螺旋」という修辞に取って代わられ、新たな生成的調和の自己言及的な修辞として前景化されたということ、2.その生成的調和の修辞たる「螺旋」がヨーロッパ文化の基層をなすケルト文化と符合していることの二点を明らかにすることである。目的の1については風と螺旋との符合についてW.B.イェイツの大戦時代の詩の中に追求し、その結果イェイツの螺旋の修辞が一元的世界観から、多元的な世界観への変容を示すものであるという新たな検証ができ、その成果として2016年7月にIASIL 2016(International Association for the Study of Irish Literatures)(於University College Cork, Ireland)にて「Positive Perspective in the Ambiguity in Yeats’s Wartime Poem」と題する研究発表を行った。また、前年度の調査結果を踏まえた査読論文「Noli me Tangere: “Nineteen Hundred and Nineteen”における触れる風」を執筆し、2017年5月に公刊予定である。スイスのバーゼルにて実際に建造されたとされる「イオリアの竪琴」の資料収集も実施した。目的の2に関してはアイルランドの歴史ナラティヴの中に生々流転する螺旋の修辞が織り込まれていることを調査、分析し、2017年10月日本イェイツ協会52回大会にて「生贄を誘う女:“Easter, 1916”における畏怖という名の覚醒」と題する研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究発表の日程との兼ね合いのため旅程が確保できず、フランス、ドイツの現地調査はできなかったが、最終的な目的であるスイスでの資料収集は完了できた。資料・情報収集が順調なため、より多くの研究発表、研究論文執筆ができている。したがって当初の計画以上に視点していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に示した通り、当初計画より研究が進んでいるため、特に計画についての変更は行うことなく、研究発表等で得られる新たな視点を研究内容に盛り込むことにより、より充実した研究にしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国書籍購入、図書貸借において費用が事前に確定しにくいものがあり小額の端数が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度分に合算して、その他(図書貸借費用)に充てる。
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