第二次世界大戦においては、プロパガンダが本格的に繰り広げられた。その主要なメディアの1つがラジオである。イギリスのBBCとドイツの宣伝省のあいだのラジオによるプロパガンダ合戦、すなわち、ラジオ戦争については数多くの研究がある。しかし、同時代にスイスが中立の立場から、戦況を報道した週間ニュース番組、「世界クロニクル」の政治的・文化的位置についてはほとんど研究されていない。番組のライターでありキャスターでもあった歴史学者Jean Rudolf von Salisが残した放送原稿を読み解くことによって、テクストの生成と番組のもたらした作用を読み解いていった。
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