研究課題/領域番号 |
15K12879
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
林 ひょん情 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (30412290)
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研究分担者 |
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70227263)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 迷惑行為に対する言語行動 / 社会文化的規範 / 性格特性の影響 / アジア諸言語の対照研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本・韓国・中国・マレーシアのアジアの4つの言語およびそれぞれを母語とする日本語学習者を対象に、第1および第2言語場面での迷惑場面に影響する諸要因を比較検討し、知覚から言語行動を取るまでの一連の発話プロセスのメカニズムを解明することを目的とする。平成28年度は当初の研究計画に基づき、平成27年度の研究成果をふまえ、迷惑行為に対する言語行動と個人の性格特性の影響を検討するための調査を、日本・韓国・中国・マレーシアにて行い、その一部分のデータについて分析を行った。現段階で分析が終わっている日本人と韓国人、韓国人日本語学習者の迷惑行為に対する迷惑度と言語行動(注意する・しない)の結果を要約すると、社会的迷惑行為に対する迷惑度は、日本人(JJ)と韓国人(KK)とで有意な違いがみられ、全体的に社会的迷惑行為に対して韓国人よりは日本人のほうがより迷惑と受け止めていることが明らかになった。また、相手の迷惑行為に対して注意するするのか、しないのかの言語行動については、日本人と韓国人とで大きな違いは見られなかった。一方で、韓国人日本語学習者(KJ)の迷惑度は、迷惑度の低い場面では日本人との類似性は見られないものの、迷惑度がある程度高い場面では日本人と類した判断を示すことが分かった。しかし、注意する、しないの言語行動については、場面によって違いが大きく、一貫したような結果は見られなかった。今後は場面毎に分けてどのような違いがあるのか、より具体的に分析していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画は日本、韓国、中国、マレーシアにて、社会的迷惑行為と言語行動に関するアンケート調査を実施し、迷惑行為に対する社会文化的規範と言語行動、そして個人の性格特性の関連性について検討することである。予定通り、日本、韓国、中国、マレーシアの大学生を対象にした調査を実施した。また、決定木分析を用いて、日本人と韓国人、韓国人日本語学習者の3つのグループの迷惑行為に対する迷惑度について、学会で発表することができた。また、定量的手法を用いて言語行動(注意する、しない)についての比較分析も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、中国、マレーシアの調査分析を急ぐとともに、分析結果について、海外共同研究者を含む関係者全員で討議を行う。また、それらを総括して、国内外の学会にて研究成果を発表し、論文を執筆する。
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