研究課題/領域番号 |
15K12880
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
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研究分担者 |
篠塚 勝正 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤講師 (40528775) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運動機能 / 記憶固定 / BDNF / 言語習得 / 非単語 |
研究実績の概要 |
近年、重要視されるようになってきた運動が記憶に良い影響を与えるという観点から、運動機能が外国語記憶へ及ぼす影響を実証的に研究した。運動をすると、BDNF (脳由来神経栄養因子)が生成される。そこで、2016年にドイツのGriffin グループが、記憶したいのならば、4時間後に運動をするのが良いという実験結果を公表した。この論文で、なぜ4時間かが明確にされていない。本当に学習後に、何時間あけてから運動をすればいいのだろうか。この疑問から本研究を実施した。実験群として、記憶task後、30分後に運動する(実験群A)、2時間後に運動する(実験群B)、4時間後に運動する(実験群C)の3種類を設定した。実験課題として、図形と非単語の関連に関する記憶を被験者に20項目課した。 実験の結果、学習した後2時間あけて運動するのが、言語課題における短期記憶に良い影響があった。つまり、学習後2時間後の運動が記憶固定とBDNFに関連することが示された。Kandel の研究によれば、多くの記憶タイプでは学習後2時間から3時間後に固定化がされる。海馬にあるBDNFが運動によって増加するので、外国語教育において、学習後、2時間経過した時に、運動をさせる教育programを考案することが可能であることが示された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、言語記憶課題において、どのぐらいの時間をあけて運動をすればいいのかいう特徴的な実験を実施することができた。 詳細なデータを取得するため、3種類の実験群に分類することができた。Pre-test と Post-testを設定し、本研究の実験計画が滞りなく進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
言語記憶課題における運動実験群の実験内容と被験者人数を増加することにより、さらに信頼性のある結果を導く。 「机上の言語学習、暗記の強要」という従来型の教育アプローチではない、体の動きとgesture が言語習得に有効であり、長期的記憶に連結するということを明らかにするために、今後はgestureをする実験群とgestureをしない統制群にわけ、新しい未知語を記憶する際に、どちらが単語記憶の固定化が促進されるのかを探る。さらに、学習後、どのくらいのタイミングで運動をするのが記憶固定につながるかを検証していく。言語記憶における運動の効果度と言語記憶時のgestureの効果度を比較しながら、「体で言語を身につける」というHarold E. PalmerやJames J. Asherの教授法の原点に戻る実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に実験をさらに遂行するために、実験用カメラと論文執筆用の校正費用が必要となったため。
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