研究課題/領域番号 |
15K12885
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
定延 利之 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (50235305)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 言語生活 / 日本語教育 / 話芸 / コーパス / 面白い話 |
研究実績の概要 |
今年度は、「面白い話」コーパス構築に引き続き力を注ぐ一方、それに関する研究者の人的ネットワークを国際レベルで広めることができた。 コーパス構築については、本プロジェクトの活動が、日本語教育学会をはじめとする、世界の日本語教育機関で構成されるネットワーク「日本語教育グローバルネットワーク」の支援対象に決定されたことが大きい。たとえば、ヨーロッパの日本語教育関係者で構成される「ヨーロッパ日本語教師会」主催のシンポジウムにおいて本プロジェクトを紹介する時間を与えられるなどといった機会を通して、本プロジェクトの存在が世界の日本語学習者により知られるようになったことは、「面白い話」コンテストへの日本語学習者のエントリー数が増加していることの大きな一因と考えられる。 「面白い話」コーパスを用いた研究の人的ネットワークについては、日本だけでなく、アメリカ・ベルギー・中国・イギリス・フランス・ノルウェー・ロシアの7か国の研究者たちと共同研究を展開することができた。学問分野としても、文法研究・音声科学・レトリック研究・語用論・翻訳論・文化研究・日本語教育学・社会学と、多様な分野からの参加を得た。これらの成果を、執筆者数29人、収録論文数17編という研究論文集として出版することが決定した。この出版の計画は、秋の段階で研究成果公開促進費(学術図書)に申請し、平成29年度における採択(したがって出版)が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究期間の最終年度にまとめるべき研究成果論文集を、(原稿の形ではあるが)最終年度前年度にまとめることができたこと、さらに、この論文集が、執筆者数(29人)の過半数が外国の研究者というものであることから判断すれば、「コンテストの国際的展開」そして「データの共有化」という本プロジェクトの掲げる目標は、現時点で達成の目処が立っていると言える。この論文集の出版に関しておこなった研究成果公開促進費(学術図書)の申請が採択されたことも、この論文集の高い価値を示していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に、日本語教育関連の世界的ネットワーク「日本語教育グローバルネットワーク」を引き続き最大限活用しつつ、それとは別の分野の研究者ネットワークをも活用して、コンテストへのエントリー(つまりコーパス)をさらに大きく、さらに多様にする。 特に、言語学関連の研究者のネットワークの利用することによって、これまでにエントリーのない国からのエントリーを促進させる。また、それとともに、言語学的な研究をさらに深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として72,697円が発生しているのは、テロや空港職員ストライキの影響で、予定されていた海外研究者の参加がとりやめになったり、参加のための移動手段が変わったりして、旅費の金額が変動したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
この助成金と次年度分の助成金を合わせて、次年度は論文集出版を契機としてさらに研究の人的ネットワークを広げる活動をおこなう予定である。但し、次年度は最終年度であるため、会合はなるだけ早期におこない、今年度と同様の事情による旅費額の変動に備えたい。
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