研究課題/領域番号 |
15K12887
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
友定 賢治 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 名誉教授 (80101632)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感動詞 / 日中対照 / 人称詞 / 感動詞化 / 感動詞の分布 |
研究実績の概要 |
今年度の実績を大きく4つに分けて述べる。まず一つ目は日本・中国での自然談話の収録である。基礎資料として重要であり、日本は、共通語・広島・出雲・仙台の各地で収集し、中国では北京(普通語)・天津で収録した。あいづちが少ないとされる中国語であるが、天津方言では日本語と同様に頻繁であることなどが分かってきた。 二つ目は、論文2編の執筆である。自称詞・対称詞が感動詞化して用いられることに注目したものであるが、対称詞の感動詞化が西日本で盛んであることなどがあきらかになっている。 三つめは、感動詞ワークショップの開催である。外国からも含め、100人ばかりが参加して、2日間、感動詞の対照研究の可能性や課題など、感動詞に関する諸問題が熱心に議論された。 四つ目は、そのワークショップの発表をもとに、『感動詞研究の展開』(仮称)という論文集がひつじ書房(東京)から出版されることが決まったことである。現在、15名の方が鋭意執筆中である。 ただ、このワークショップの議論の中で、データ不足や検証の必要なことなどがあきらかになったので、研究期間を1年延長することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで3年間、連携研究者3名、研究協力者の中国人3名とで資料収集や分析を行ってきた。日本語で主に取り上げた人称詞の感動詞化について、その文中用法や分布などがかなり明らかになってきた。また、中国語での呼びかけや、あいづちなど、感動詞の実態が明らかになりつつある。特に日本語対称詞の感動詞化が西日本に偏在することや、中国天津方言のあいづちが日本語と同じように頻繁であることなど、重要な指摘も出来た。 感動詞ワークショップの開催や論文集の出版によって、感動詞研究の活発化に寄与できたことも大きな実績である。ワークショップには台湾からの参加者や、中国人留学生が各地から参加し、感動詞研究に関心を示した。 ただ、感動詞研究の根本的な問題、例えば「感動詞とは何か」といった問いに応えられるところまでは至れなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長して30年度までとなったので、この1年では、データの収集や検証、そして、感動詞研究の基本的な問題を議論し、何らかの結論を得たいと考えている。取り上げる基本的な問題としては、①感動詞の文中での役目、②感動詞の対照研究は可能か、③感動詞とは何かである。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、旅費の使用額が予定より少なくなった。次年度は、これまでの研究で課題となったデータの補足や検証のための旅費として使用予定である。
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