研究実績の概要 |
研究の目的は、英語における目的語-動詞 (OV) から動詞-目的語 (VO) への語順変化は、音韻の歴史変化が原因であるとする、新しい仮説を提案し、これを英語歴史コーパスの方言分析と言語類型論によって実証することであった。 英語の語強勢の位置は、ゲルマン的な語頭から語末方向に向かって移動したが、その 原因として、語末付近に強勢を持つフランス語などからの借入語の増加が考えられる。コーパスのテキストご とに、借入語の数と VO 語順の動詞句の数を調査し、年代および方言別に比較して数値に相関があるかを統計的に検討する。この相関を音韻と統語のインタフェース理論によって説明する。 平成29年度の研究実施計画では、1 分析結果の集計、2 追加テキストの分析、3 理論の精密化、4 研究発表と研究論文の執筆を予定していた。 研究内容としては、古フランス語からの借用語が用いられている動詞句では、動詞-目的語の語順が多く現れることが実証された。 意義 重要性 以上について、平成29年7月に The international Biennial Conference on the Diachrony of English (CBDA-5) (英語史国際学会、トゥール(フランス))で、研究発表 Word Order Change, Stress Shift and Old French Loanwords in Middle English (中期英語における語順変化、強勢移動、借用語)を行った。また、平成30年3月に SLIN 18 Conference (Storia Lingua Inglese)(英語史学会、インスブルック(オーストリア))で、研究発表 Borrowing, Stress Shift and Word Order Change in the History of English (英語史における借用、強勢移動、語順変化)を行った。
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