英語の語順が目的語-動詞から動詞-目的語に歴史的に変化したことについて、従来は、格語尾が消失したことにより、語順が固定したという説明が成されてきた。本研究は、古フランス語からの語彙の借用によって、語強勢の位置が、ゲルマン的な語頭から、語末方向へ変化したことが、語順変化の原因であるという仮説を立て、古い英語(中英語)のコーパス(テキストのデジタルデータ)を調査した。古フランス語(もしくはアングロ・ノルマン語)からの借入語が目的語として現れる場合、本動詞・目的語(VO)語順の頻度が高く、目的語・本動詞(OV)語順の頻度が低いことを示した。
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